【アスリートたちのセカンドキャリア】営業職へ転身の元阪神左腕「働いて活躍する姿を現役の選手に見せたい」
スポットライトを浴びた選手たちにも訪れる、現役引退という転機。現在セカンドキャリアを歩む元アスリートたちは、当時どのような思いでセカンドキャリアに舵を切ったのか。ここでは、新たな舞台に飛び込んだ元アスリートの今に迫る。 【写真】2024年現役を引退。元阪神・ロッテに所属した、エイジェック硬式野球部時代の高野圭佑 桐生第一高から上武大を経て、2017年育成ドラフト1位で阪神に入団した、石井将希さん。2021年オフに阪神を退団し、社会人野球チームのエイジェックに転身すると、社会人野球の2大大会と言われる、都市対抗野球大会、社会人日本選手権大会への出場にも貢献した。 3年目となる昨シーズンで現役引退を決め、2025年より、株式会社エイジェックスポーツマネジメントの営業職として社業に専念する。会社員としての生活をスタートさせた石井さんに迫る。 ◆“野球選手”を終えた後も、活躍する姿を見せたい。 2021年オフ、阪神を退団した石井さんは、翌年から社会人野球チームのエイジェックに身を転じた。エイジェックでは3シーズンを戦い、貴重な左腕投手として活躍。在籍中は、都市対抗野球と社会人日本選手権への出場にも貢献し、今季限りでの勇退を決めた。阪神時代と合わせて7年の現役生活を終え、現役時代といまの違いを聞くと、「肩肘の痛みを気にしたり、選手としての体調を整える大変さだったり、そこへの負担がないことが一番の違いですね」と振り返る。 社会人野球を勇退し、社業に専念する選手は、出身地やチームの活動地域に近いエリアへ配属されることが多いらしいが、群馬県出身の石井さんは、現在“大阪オフィス”での営業職として社業に励んでいる。「阪神でプレーしていたことが大きな理由で、阪神での経験を仕事に活かせたらという思いが強い」という。また、「妻が兵庫県出身であることもあり、今では関東よりむしろ関西の方が居心地が良いですね」と笑う。 サラリーマン生活はまだ始まったばかりで、キーボード入力も不得手だというが、「僕を含め、これまでスポーツだけに力を注いできたという方は、“セカンドキャリア”を不安に思うこともあると思うのですが、野球選手を終えた後も活躍している姿を現役の選手たちに見せたいですね」と語った。 アスリートのセカンドキャリア支援が元になり、事業を展開するエイジェックスポーツマネジメントの社員として、ロールモデルとなる活躍ができれば、それは当然、会社への大きな貢献となるだろう。 上司の勝島拓也さんは、石井さんについて「僕も栃木にいたので、野球選手としての姿やアカデミーで講師をする姿は見たことがありますが、スーツで出勤してきたときは別人に見えました」と第一印象を語る。また、「営業は話すことが重要ですから、いろいろな知識や情報を取り入れていってほしいですね。何事も諦めずに取り組み、家族や社会のために頑張れる社会人になってほしいです」とエールを送った。 自分の言葉で丁寧に話す姿が印象的だった石井さん。「今はパソコンもろくにできないですが、頑張ればやっていけると示したいです」という決意は、きっと現実のものとなるはずだ。 石井将希(いしい・まさき) 1995年7月12日生まれ 群馬県高崎市出身 桐生第一高-上武大-阪神(2017-2021)-エイジェック(2022-2024)
アスリートマガジン編集部