寒いけど見たい!ふたご座流星群に土星食、スピカ食も 2024年12月の星空散歩
2024年は12月21日が冬至となり、夜の時間が長い季節となります。夜空は土星食に流星群、ほかにも楽しみがいっぱいです。 今年11月の星空 12月8日には、土星が月に隠される「土星食」が起こります。土星の明るさは1.0等で、明るい惑星が、日の入り後に暗くなっていく南の空で月に隠されます。土星食が見られるのは日本列島の南東側の地域・本州と四国の広い範囲で、札幌や福岡では食は起こらず、月と土星が非常に接近して見えます。明石市立天文科学館の井上毅館長によりますと、「日本で夜間に土星食が見られるのは、2007年1月6日の北海道東部以来17年ぶりです。また次回、夜間に見られるのは、2037年で13年後になります」。 8日の月はほぼ半月で、土星は月の明暗境界線からわずかに暗い側に入った縁(暗縁)で月に隠されます(潜入)。土星が再び現れる(出現)のは、月の輝く縁(明縁)となります。出現の様子は、肉眼では見づらい可能性があり、双眼鏡や望遠鏡と使うといいとのことです。国立天文台のウェブサイトによりますと、神戸では、18時21分に潜入開始、18時45分に出現完了となります。 土星は肉眼では「点」にしか見えませんが、望遠鏡を使うと「面」に見え、環も見ることができます。環は氷の粒の集まりで、土星の周囲を高速で回っており、太陽光を反射することで明るく輝いて見えます。土星の自転軸は26.7度、約30年をかけて公転しています。このため環は地球からでは、斜め上から見えたり、横から見えたり、斜め下から見えたりと、時期によって変わります。2024年は「ほぼ横」から見ることになり、細い環が見えます。来年・2025年は「真横」から見ることになるため、ほとんど見えなくなる「環の消失」が起こります。 「土星の最大の特徴である環が見えない」からこその楽しみもあります。土星の縞模様の観測や、140個以上確認されている衛星を観測するチャンスにもなりそうです。 25日未明には、おとめ座の1等星スピカが月に隠される「スピカ食」が起こります。日本列島の広い範囲で、南東の空が開けたところで見ることができます。月齢23.5の月の明縁から潜入し、暗縁から出現。大阪では、3時11分に潜入、4時14分に出現となります。 12月の空でひときわ輝くのは木星です。8日に「衝(地球から見て太陽と反対側)」となります。マイナス2.8等の明るさで、天頂に位置し、「夜半の明星」とも言われます。近くにはアルデバランやリゲルなど冬の1等星もあり、その明るさを比べてみるのもいいかもしれません。 そして12月は3大流星群のひとつ、ふたご座流星群が14日に極大となります。 今年は、15日に満月(コールドムーン)となり、その前日・14日も一晩中月明かりの影響を受けるため、条件は良くありません。とはいえ、13日夜から14日明け方にかけては多くの流星が期待できそうです。空の暗い所で観察した場合、14日0時頃には1時間に30個程度、その後3時から5時頃には1時間に40個になるのではと期待されています。また、12日の夜半過ぎからも流星の数は増えはじめ、空の暗い所で13日3時から5時頃には1時間あたり20個程度が見られるのではと予想されています。明るい月を避けて月の反対側をみるなどの工夫で、月明かりの影響を小さく抑え、1つでも多くの流星を数えたいものです。 さらに14日午前3時から5時ごろには、プレアデス星団食が起こります。「すばる」という和名で知られているおうし座の散開星団の中を、満月に近い月が通過して星団の星を次々と隠していきます。2028年にかけて起こる現象ですが、今回は観測条件がいいとされます。流星群をさがす時にはこちらにも注目です。 いずれにせよ、この時期の星空観察は寒さ対策が欠かせません。防寒対策万全で臨みましょう。 (協力:明石市立天文科学館・井上毅館長 参考:国立天文台HP)
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