[西岡明彦]仏名門ボルドーの窮地にリヴァプールが救いの手
プレミア最強ガイド 最終回
近年、マンチェスター・シティやブライトンのように他国に提携クラブを持ち相乗効果を目論む経営スタイルが増えてきましたが、リヴァプールにもその動きがあるようです。 リヴァプールのオーナー企業であるフェンウェイ・スポーツ・グループ(以下FSG)は今月9日、フランスリーグのボルドーを買収するため交渉していることを明らかにしました。オーナーのジョン・ヘンリーが顧問弁護士とともにフランスを訪れ、ボルドーのオーナー兼会長であるジェラール・ロペスと商談したことも地元メディアに報じられました。 リーグ・アンで6度の優勝を成し遂げるなど名門クラブの1つだったボルドーですが、近年は財政難に陥り成績も急降下。ここ2シーズンは2部での戦いを余儀なくされています。米国人オーナーのキング・ストリートによる経営が2021年に破綻し、同年6月にルクセンブルク系スペイン人の実業家であるジェラール・ロペスに経営権が譲渡されました。しかし、新体制による経営も1部復帰など満足な成果をあげることが出来ないまま、財政的にも窮地に追い込まれていきます。そして先月末、フランスリーグを管轄する金融監督機関から資金不足を指摘された同クラブは、今月9日までに財政的な保障を示すことが出来なかったため、暫定的ながら3部リーグ降格という通達を受けてしまったのです。 ロペスオーナーは即時にこの裁定に対し控訴したことを発表し、救世主を見つけるために奔走しました。そこにクラブ提携による基盤拡大を目論んでいるリヴァプールがボルドー買収に名乗りを上げたというわけです。「まだ商談の初期段階である」とFSGは発表しましたが、2024-25シーズンの開幕が目前に迫っています。リーグから提示されたデッドラインは2週間、今月23日までに売却手続きを完了していることが2部残留の条件となっています。まさに時間との戦い、リヴァプールはボルドーの窮地を救えるのでしょうか。 さて、長きに渡りコラムを連載してまいりましたが、今号をもって終了させて頂くことになりました。コラム執筆という実況中継とは異なる舞台を頂き、拙い原稿にお付き合い頂いたこと、本当に感謝しています。フットボールの楽しさを様々な視点からお伝えしてきましたが、これからも皆さんの日常がフットボールの話題で溢れることを願っています。また、実況の仕事はもう少し続けますので、ご視聴頂ければ嬉しいです。ありがとうございました。 文/西岡明彦 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第295号、7月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部