「里の山道」復興へ ハイキングコースを整備 地域おこし協力隊員奮闘/兵庫・丹波篠山市
兵庫県丹波篠山市大芋(おくも)地区を担当する地域おこし協力隊の山中望さん(34)は、同市市野々集落でその昔、林業や炭焼きで使われていた山道を復興させ、ハイキングコースとして活用する取り組みを進めている。地元住民や自らがガイドを務めるハイキングツアーなどのレクリエーションや、まき作りやマツタケ再生など山の資源を生かすことを通して、地域内外に里山の魅力を発信していこうと考えている。「燃料革命以前の豊かな里山に戻すことは、当時と生活様式が一変した現代では無理だが、山と人との結びつきを再び強めることはできる。山に人の往来が増えれば、何か新しい価値が生まれてくるのでは」と話している。 計画中のハイキングコースは、市野々自治会館を発着点とする「かいやま」「亀井谷」の2コース。昭和40年代までは山仕事のため、日常的に利用されていたという。いずれも雑木林が大半を占める植生豊かな山道で、季節の移ろいを感じながら散策できる。起伏も少ないため、「幅広い世代に山歩きを楽しんでもらえるのでは」とする。 かいやまコースは、開通している。今年5月中旬から1カ月ほどかけて、山道をふさぐ倒木を除去したり、草を刈ったりして整備した。周回の所要時間は約40分。 亀井谷コースは、まだ未開通。尾根を歩くコースで、眺望が楽しめるポイントがいくつもある。途中、かいやまコースとも重なり、所要時間は約2時間半。今月から倒木除去や不要な樹木の伐採、看板設置などの整備に取りかかっている。 集落の山中に残る山道を復興させ、ハイキングに活用しようとする動きは以前にもあった。 2013年から同集落の村山紳一さん(73)を発起人に、住民十数人で「市野々里山再生プロジェクト」を始動。市が市民団体の里山整備を助成する「里山彩園実験事業」の採択を受け、山道の整備を中心に、山道の入り口付近にアジサイやシャクナゲ、サクラなどの植栽なども施した。山道は放っておけば再び草木が生い茂って荒廃してしまうため、定期的に整備・管理を行っていたが、高齢化に伴うメンバーの減少などにより、3年前からは活動休止に陥っていた。 そんな状況の中、今年4月に、山歩きが好きで、大学では森林科学(木材物理学)を学んだ山中さんが同協力隊員として着任。村山さんら住民の思いを引き継いだ。 両コースを散策する際は、市野々自治会館の駐車場を利用する。トイレも使用できる。