映画「がんばっていきまっしょい」雨宮天さん・伊藤美来さんインタビュー ボート部高校生の青春、初アニメ化
アニメっぽい表現に頼りすぎないバランス
――今回の役作りで意識したことはありますか? 雨宮:リアルなトーンを追求しました。台本や映像から、悦子のセリフや感じていること、ダウナーなテンション感がかなりリアルな感じだったので、抑揚をつけすぎない、アニメっぽい表現に頼りすぎない、その中で、じわりじわりと悦子の気持ちがにじむバランスってどこなんだろうと。いつもとは結構違うアプローチでしたね。リアルさを求めながら、でも、伝わらなかったら意味がないので、そのバランスを考えながら作っていきました。 伊藤:私の演じた姫は、独特なふわっとした空気感がある子で、姫の優しさや気遣いができるところがしっかり伝わったらいいなと思って、元気すぎないというか、ちょっと大人っぽい雰囲気の中に可愛さがあるところを意識して演じました。ボートでは舵を操作するコックスという役割なので、練習や大会のシーンでは、引っ張っていくような、応援する気持ちをもって、みんなを鼓舞できるように気をつけました。 ――ボートの掛け声は独特ですね。 伊藤:難しかったです。台本だけ見ても、どうやって言うのか正解がわからなくて、動画を見たりして勉強しました。実際は、そのチームごとに決めているもので、正解はないみたいですけど、監督とお話ししながら、こういうのも録ってみましょうという感じで、本編の後、別に録ったりもしました。 ――アフレコは、5人揃ってではなかったそうですが、5人の息がぴったりあっていました。 伊藤:ダッコ(鬼頭明里)とイモッチ(長谷川育美)が先に録って、その後、姫が一人で。 雨宮:最後に悦子とリー(高橋李依)が一緒に。私は、みんなが先に録ったのを聴いてできたので、よかったです。 伊藤:みんながちょっとずつ、ダッコとイモッチの雰囲気から、「こうかな?」と探りながら。最後の二人が微調整をしてくれたんだろうなと思います。
姫と悦ネエの距離感が絶妙
――おふたりが演じた悦子と姫の関係性は、本作の軸にもなっていると思いますが、役作りをする上で、コミュニケーションはとりましたか? 雨宮:アフレコが一緒ではなかったので、特にそういうすり合わせはなかったですね。 伊藤:でも私は、そらっち(雨宮さん)のことをデビュー当時から知っているので、姫と悦子が幼なじみで昔から一緒にいる雰囲気は、自然と出せたような気がしますね。 雨宮:確かに付き合いが長いのもあるし、キャラクター自体も本人と似ているところもあるから、なんとなく想像できたところはあったのかなと思います。もし、完全に初めての方とだったら、どうしよう? ってなっていたかもしれないですね。 伊藤:姫と悦ネエの関係性はすごくいいなと思います。いい距離感というか。 雨宮:姫の距離感が絶妙だと思う。悦ネエの気分を……。 伊藤:害さない(笑) 雨宮:(笑)これ以上言ったら、悦ネエがヒリヒリしちゃうかな、みたいなところをすごく見てくれてる感じがする。生まれながらのコックスというか。逆に、姫はどうしてそんなに悦ネエのことが好きなんだろう? 伊藤:悦ネエの繊細なところとか、自分自身と戦っている姿とか、内に秘めているところとか、姫にとって自分にないものだから、眩しく見えるんだろうなと思いますね。一生懸命生きてる人って応援したくなるし、姫はちょっと大人っぽい考えもあるので、かわいいなって思っているところもあると思います。 雨宮:悦ネエがんばれって(笑)