9回2死一、二塁のピンチを空振り三振で切り抜けて吠える西日本短大付の村上投手（撮影・星野楽）

　◆第106回全国高校野球選手権福岡大会準決勝　西日本短大付4―3（延長10回）近大福岡（22日・北九州市民球場） 　3時間12分の死闘を締めくくったのはエース村上太一（3年）だった。1点差に追い上げられた10回裏、2死一塁。西日本短大付のエース村上はファウルで粘る相手打者を9球目のスライダーで打ち取り勝利を決めた。「2死を取って気が緩んで1点取られてしまった。自分が抑えないと負けるので気を引き締め直しました」と緊張感から解放されて喜びを爆発させた。 ■福岡大会24日決勝、進出したのは…【トーナメント表】 　西日本短大付打線は14残塁。緩急を使ってうちとる相手のエース田邊周（3年）を攻めあぐんだ。強打が売りの打線が5回、7回と1得点ずつでたたみかけることができず2―2のまま延長に突入。9回裏、1点取られたらサヨナラ負けという厳しい場面で、この日登板予定のなかった村上がマウンドに上がった。9回は2安打を許しながらも2三振を取り無安打で切り抜けた。タイブレークに突入しても「秋の大会で経験していたので冷静に入れた」と慌てることはなかった。 　10回の攻撃は先頭打者としてきっちり犠打で送って後続に託すと、6番斉藤大将（2年）の内野安打が相手守備の乱れを誘い2点を勝ちこし。「絶対に次につなごうという気持ちでした。ヘッドスライディングは普段はしないけど」と遊撃へのゴロで俊足の斉藤が一塁へ飛び込むファイトあふれるプレーで勝ちこし点をあげた。この日2度ホームを踏んだ1番打者の奥駿仁（2年）や斉藤ら2年生の活躍がチームを引っ張っている。「今日は2年生のおかげで勝てました」と村上は後輩に感謝の言葉を贈る。 　3年ぶりの甲子園出場をかけたファイナルマッチは福岡大大濠との対戦が決まった。昨秋、春の福岡大会でどちらも敗れた相手。「大濠と夏の決勝でやることを目標に春から頑張ってきました。3度目は大濠に勝ってみんなで甲子園に行きたい」。村上や選手全員が熱望していた対戦が実現。県内屈指の強力打線とプロ注目投手を擁する相手にリベンジして甲子園切符をつかんでみせる。 （前田泰子）