110年前、大正噴火2日後の桜島克明に…没後100年・黒田清輝の連作6点公開 鹿児島市立美術館
鹿児島市立美術館は、大正噴火から110年を迎えた「桜島」のミニ特集を開催している。所蔵品から桜島を描いた15点を展示。大噴火開始2日後の1914(大正3)年1月14日から、数日にわたり黒田清輝が描いた連作「桜島爆発図」の6点も公開されている。 【写真】黒田清輝「桜島爆発図(噴火)」(鹿児島市立美術館蔵)
今年は黒田の没後100年にも当たる。同館によると、当時、黒田は実父の病気見舞いのために帰省しており、大噴火に遭遇した。ベニヤ板で作られた縦14センチ、横18センチの葉巻箱のふたに、その様子や災害の状況を油彩で描きとめたという。 山腹噴火の様子や中腹と麓で発生した火炎、海に流れ込んだ溶岩が起こす蒸気などを克明に描写。桜島に渡り荒廃の惨状も記録するなど、帰京する24日まで精力的に活動した。 「刻々と変化する様子を即興・体感的に描き、色彩とともに伝えた。自然科学の資料としても重要」と稲葉麻里子学芸員。「噴火を見た当時の人々の驚きに思いをはせてほしい」と鑑賞を呼びかける。 黒田の弟子でこのとき随行した県出身の画家・山下兼秀が描いた「桜島爆発図」も展示。このほか梅原龍三郎の素描なども並ぶ。3月3日まで。月曜休館(2月12日は開館、13日休み)。常設展観覧料で観覧できる。
南日本新聞 | 鹿児島