「無理と思えることも手順を踏めばできる」〝史上最年少〟兵庫・芦屋市の高島市長就任1年の教訓
昨年4月の兵庫県芦屋市長選で史上最年少の26歳で初当選を果たした高島崚輔市長は今月1日、就任から1年を迎えた。若さに加え、灘高、米ハーバード大卒という輝かしい経歴もあって注目を集める中、「対話」を重視し市民、市議会、市職員と向き合い続け、市政に新風を吹き込んできた。最年少市長にこの1年を振り返ってもらうとともに、2年目へ向けた意気込みを聞いた。 【写真】乙武洋匡さんの話にメモをとりながら熱心に聞き入る高島崚輔市長 「市民に支えていただいた1年だった」と謙虚に振り返る高島氏。「期待だけで選んでいただいた」と公言し、外へ出て市民と対話を重ねることに努めてきた。メディアへの露出が前任者に比べ格段に増えたこともあって「市民が市政に関心を持ってくれている」ことを実感したという。 庁内では報告、説明の際は「常識」と「法律」を切り分けて話すというルールを設けた上で対話を重ねた。たとえば医療費をはじめとする助成金の給付のタイミング。早期には難しいと説明する職員には「法律的に無理なのか、前例から考えて直感的に無理だと考えているだけなのか」を明確にするよう求めた。 「法律などで決まっているのならともかく、無理と思えることも実はきちんと手順を踏めばできることもある」。こうしたやりとりを重ね、行政の前例主義に風穴をあけていった。 市議会にはどう向き合ってきたのか。昨年12月の定例会で、教育委員人事案が反対多数で否決されるなど議会の壁にはばまれたこともあったが、「なるほど、そういう考え方もあるのか、と学ぶことが多い」と前向きにとらえ、丁寧な対話を心がけたという。 一方、「一丁目一番地」と位置づける教育分野の施策については「骨組みをしっかりと作ることができた1年だった」と振り返る。 中でも、力を入れるのは公教育での「ちょうどの学び」の実現。有志の教職員らで構成する研究チームが子供一人一人に適切な学びができる公教育の在り方について自主的に研究、実践するプロジェクトがすでに始動している。 チームには約20人の教職員が参加を表明。「上から押し付けるのではなく、現場からのボトムアップ。意欲のある教職員を最大限サポートし、目に見える成果を出したい」と高島氏。今年度当初予算の額は約280万円とまだそれほど多くはないが、「成果をもとに取り組みを大きく広げていきたい」と意欲をみせた。