『カップラーメン』日清食品社長は「3代目は会社をつぶす」を覆し、快進撃を続ける 祖父・百福氏から受け継ぐ「開拓者魂」とは!?
「カップヌードルをぶっつぶせ」を合言葉に社内競争を活性化
―――「謎肉」という言葉も話題になりましたね? カップヌードルの発売当初から入っているサイコロ状の具材ですが、お客さまからは「謎肉」という愛称で親しまれていました。通常なら、自分たちの商品に会社が自ら「謎」という言葉を使ったりしないのですが、お客さまにとって親しみのある呼び名にしたほうがもっとカップヌードルを身近に感じていただけると思ったんです。そこで、今から10年ほど前に思い切って謎肉と呼んでしまおうと決断しました。当時、役員会では反対されましたが、「次世代ユーザーを育成していくためには、これくらいインパクトのある言葉を使わないと響かない」と説得しました。ただ、祖父が命をかけて生み出したカップヌードルですから、祖父が生きていたら許可は出なかったと思います。 ―――カップヌードルをどんどん進化させる一方で、カップヌードルを超えるものもつくっていくと? カップヌードルだけが目立ったらどん兵衛やU.F.O.の担当者はあまりいい気がしませんよね。カップヌードルよりもっと話題を作りたいという社内の競争構造が、われわれの強みになっています。カップヌードルがあるから安心ではダメなんです。「カップヌードルをぶっつぶす」ぐらいの新しいコンセプトやサービス、ビジネスモデルを生み出そうと社内で切磋琢磨することが、日清食品をさらなる成長に導くと考えています。 ―――会社の強みは何でしょうか? 商品開発力や技術力です。さらにマーケティング力、それを実行するスピード感が、日清食品の強みだと思います。
「完全メシ」は人類が抱える“食の課題”の解決を目指す
―――いま一番、力を入れていることは? 主要な栄養素がバランスよく適切に調整された「最適化栄養食」のカテゴリーに注力しています。「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」というブランドを、2022年に立ち上げました。完全メシのポイントは、普段の食事と変わらないおいしさを実現しているところです。ビタミンやミネラルなどの栄養素には独特の苦みやエグみを持つものがあり、そのまま入れてしまうとまずくて食べられないんです。しかし、日清食品がインスタントラーメンで培ってきた技術を応用して苦みやエグみをうまく隠しています。