韓国旅客機、胴体着陸後の大爆発…「緊急時の燃料放出」義務化すべきか
【01月01日 KOREA WAVE】韓国・務安国際空港で12月29日起きた航空機衝突事故では、航空機が胴体着陸後、ローカライザー(方位角表示施設)の基礎や外壁に衝突して大爆発が発生した。このため、機内の燃料が十分に消費されていなかった可能性や、緊急時に燃料を放出できなかったことが指摘されている。 調査によると、事故機であるボーイング737-800型機には燃料放出機能が搭載されていなかった。このことから、一部では航空会社に対して燃料放出機能を備えた機種の使用を義務付けるべきだとの声も出ている。しかし、航空機の運航距離や使用目的が多様であり、国際基準も考慮する必要があるため、慎重な議論が求められている。 一般的に航空機は空港での着陸時に最大許容着陸重量が定められているため、緊急時には一定区間を旋回して燃料を消費してから着陸する。事故機であるB737-800型機は、中・短距離路線に主に使用される機種で、韓国内で101機が運航中の一般的な機体だ。この機体には燃料放出機能がなく、緊急時には着陸予定地上空を旋回して燃料を消費する必要がある。 しかし、今回の事故では務安国際空港の管制塔が鳥との衝突の危険を警告してから1分後に緊急信号が発信されたため、エンジン故障などで再び上昇して燃料を消費する時間がなかったと推測されている。 韓国航空大学航空運航学科のチャン・ジョウォン教授は「この機種は中短距離路線用として多く採用されており、長距離機体と比べて燃料量が少ないため、燃料放出機能がなくても上空で燃料を消費することが可能だ」とみる。また、長距離用のB747やエアバスA380などの大型機は、160トン以上の燃料を搭載するため、緊急時の燃料消費に時間がかかることから燃料放出機能が搭載されているとされる。 現在、燃料放出機能を搭載している機種はB747、B777、B727、A340、A380などであり、A300、A310、A330などはオプション仕様となっている。国土交通省は「事故機の残存燃料についてはブラックボックスの解析結果を待つ必要がある。タイから韓国に到着し着陸直前だったため、残存燃料は少なかった可能性がある。燃料放出機能を義務付ける規制は韓国単独のものではなく、国際基準に基づく必要がある」との見解を示した。 1950年代、ジェット旅客機が運航を開始した当初、米連邦航空局(FAA)は最大離陸重量が最大着陸重量の105%を超える航空機に対して燃料放出システムの搭載を義務付けていた。しかし、その後、短距離航空機の登場やエンジン性能の向上によって飛行能力が高まり、燃料放出機能の義務化は廃止された。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
KOREA WAVE