猛暑早くも 対応急ぐ 今年全国初、福島県梁川町で35度超 散水設備急きょ設置 観光地
12日の福島県内は高気圧に覆われ、各地で気温が上昇した。気象庁によると、伊達市梁川町で今年、全国初の猛暑日となる35・2度を観測し、国内で最も暑くなった。会津坂下町では農作業中とみられる80代女性が熱中症の疑いで亡くなった。今夏は平年より気温が高いと見込まれ、今後の本格的な暑さに、県民は神経をとがらせている。部活動中の生徒は小まめに水分補給するなどして対策を徹底する。県教委や消防も熱中症予防に向けて情報発信を強化している。 伊達市梁川町の梁川中では暑さの中、生徒が部活動に汗を流した。野球部の生徒は練習合間に小まめに休憩を取り、持ち寄った水筒で喉を潤していた。 梁川町は毎年、全国有数の暑さに見舞われており、同校では生徒の健康維持に工夫を凝らす。昨夏は熱気がこもりやすい3階から1階に教室を移し、通気性の良い運動着での登下校を許可した。今年も同様の取り組みを継続する。 梁川町は昨年5月18日に県内観測史上最速で猛暑日となり、同8月5日には県内観測史上最高となる40・0度を観測した。同町の会社役員渡辺一紘さん(38)は「今年もこんなに早く猛暑日になるとは思わなかった。昨年以上に暑くなるのでは」と不安そうに話した。
この日、県内4位となる33・5度を記録した会津若松市。鶴ケ城公園には県内外から教育旅行の子どもたちが訪れた。公園を管理・運営する会津若松観光ビューローが急きょ、散水設備4台を配置した。会津地方を訪問している原町小(仙台市)の6年生は、散水設備から出るミストシャワーを浴び、ひとときの涼を感じていた。 県北地方でドラッグストアを展開するハシドラッグ(本社・福島市)によると、5月から経口補水液や塩あめ、クールネックなどが売れ始めた。猛暑が予想され、売り上げはさらに伸びると見込んでいる。 県教委は県内の小中学校などに向けて「県熱中症対策ガイドライン」を初めて作成した。事例を交えて熱中症になった児童生徒への対応法など記載している。県教育庁健康教育課の担当者は「子どもたちの安全確保に役立ててほしい」と話している。 ■動画で熱中症予防策発信 郡山広域消防組合 「暑熱順化」など 郡山地方広域消防組合はインスタグラムや動画投稿サイト「YouTube」で熱中症予防について発信している。広報担当の吉田武司さん(39)は「6月は湿度が高く汗が蒸発しにくいため体内に熱がこもりやすい。我慢せずに冷房を使い、室内でも小まめに水分や塩分を取ることが重要だ」と強調する。