「たんこぶができているから大丈夫」は間違い?放置は危険な頭のけがについて
1月12日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』に、このような質問が寄せられました。「夫がタンスを開けようとした時、戸の角がおでこにヒット。すぐに冷やしたのですが、みるみるうちに大きなたんこぶが。そもそも、たんこぶの正体は何でしょうか?」(Aさん)心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生がこの質問に答えます。 首こり・頭痛の原因!?首猫背 簡単改善ストレッチを動画でチェック!【動画】
たんこぶとは?
頭をぶつけた時にできるたんこぶ。これは医学的にはどのような状態なのでしょうか? たんこぶは医学では「皮下血腫」といい、打撲した後に皮膚の中の細かい血管が破れ、血液がたまった状態と説明する吉田先生。 吉田「皮下血種自体は全身どこにでもできますが、やはり頭に最もできやすいです。なぜかというと、頭の皮膚は髪を作るために毛細血管がとても多いです。しかも真下に固い頭蓋骨があります。打撲したら皮膚が頭蓋骨の間に挟まれて血管が破れやすいので、たんこぶができやすいのです」
頭蓋骨の内か外かで大違い
たんこぶができた際、健康に問題が生じるのでしょうか? 吉田「頭をぶつけた場合、血管が破れる場所が頭蓋骨の内側か外側かで、人体へのダメージは天と地ほどの差があります」 よく頭を打った時に「たんこぶができているから大丈夫」と言われますが、これは本当でしょうか? 吉田「医学的にはまったくそういうことはありません。頭蓋骨の外側でたんこぶができているのと同時に、内側で血管が破れていることも当然あります。この場合は命にかかわる可能性もあります」
硬膜外血種の可能性も
内側で血管が破れるとどう危険なんでしょう? 吉田「脳自体は髄液という液体にぷかぷかと浮いた状態で大事に保管されていますから、よほど強く打たない限り、脳の血管が破れることはめったに起きないです。 ただ頭蓋骨のすぐ下にある硬膜の外側の部分の血管が比較的破れやすくて、たんこぶと同じようなものが頭蓋骨の内側にできることがあります。これを『硬膜外血種』と言います。たんこぶと同じようなものですが、頭蓋骨の内側にできるためにはるかに危険です」 頭蓋骨の内側は大きさが一定のため、「硬膜外血種」ができた分、脳を圧迫することになるとのこと。 吉田「そうすると脳が正常に活動できなくなって、意識を失ったり、激しい吐き気、頭痛がしたり、放置しておいたら最悪命を落とすこともあります」