尖閣映画化、クラファンに800万円 開始2週間、補正予算に製作費 石垣市
太平洋戦争末期、石垣島の疎開船が米軍の攻撃を受けた悲劇「尖閣諸島戦時遭難事件」の映画化に向けた石垣市のクラウドファンディングに対し、2週間ほどで約800万円の寄付金が集まった。市は開会中の市議会12月定例会に、映画製作資金の一部7500万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を上程している。映画完成は2026年の予定。市尖閣諸島対策室の担当者は「寄付をいただいた皆さんの思いに応えるよう、映画作りに取り組みたい」と話した。 映画の原作はノンフィクション作家、門田隆将氏の「尖閣1945」(産経新聞出版)。疎開船の生存者たちが尖閣諸島に漂着後、救出されるまでの人間ドラマなどを描く。事件を通じ、人々の命を救ったこの島々が、日本固有の領土であることを浮き彫りにする。 製作費は約3億円で、資金はクラウドファンディングとふるさと納税で調達する。市によると、11月18日に始まったクラウドファンディングは12月4日現在の寄付額が約800万円に達した。 映画製作資金の4分の1を製作会社に前払いする必要があるため、市は今議会に必要な予算を提案している。 石垣市が映画を製作するのは初めて。中山義隆市長が門田氏に映画化を打診し、快諾を得た。中山市長、門田氏、映画監督の五十嵐匠氏らは11月18日、東京で記者会見し、資金調達への協力を呼び掛けた。 門田氏は「魚釣島には今も日本人の遺骨がたくさん埋まっている。日本人が熱い思いを寄せる尖閣諸島が日本固有の領土であることを知ってほしい」と話した。 寄付の問い合わせは市ふるさと創生課℡0980・87・9000。ふるさと納税の各種サイトや市の窓口でも寄付を受け付けている。