「私は許せない。非常に危険」性別検査不合格の2名参戦に豪女子ボクサーが異論 IOCは“寛容性”を重視も【パリ五輪】
パリ五輪の女子ボクシングは“思わぬ形”で耳目を惹いている。 今、注目を集めているのは、現地時間8月1日に行われる66キロ級2回戦に登場するイマネ・ケリフ(アルジェリア)と、同2日の57キロ級2回戦に参戦するリン・ユーチン(台湾)だ。 【動画】顔面がボコボコに…ケリフがメキシコ人選手にRSC勝ちしたシーン この2人は共に昨年の世界選手権で性別適格性検査を不合格となり、出場権を剥奪された過去がある。国際ボクシング協会(IBA)のウマル・クレムリョフ会長は「XY染色体を持っていることが証明されたために2人は除外された」と明言。同団体も「包括的な検討の結果、この決定を下し、競技の公平性と完全性を維持することを意図していた」と説明する事態となっていた。 打撃を打ち合うボクシングは力の差が結果に大きく作用するのは言うまでもない。ゆえにIBAは選手たちを厳格にテストし、「競技の公平性と完全性」を保つためにケリフとリン・ユーチンを処分した。 一方で国際オリンピック委員会(IOC)は「寛容性」を重視する。現地時間7月30日に出した声明で「2024年パリ五輪ボクシング大会に出場するすべての選手は出場資格および参加規定、適用可能なすべての『医療規定』を順守している」とし、両者の女子競技参戦が医学的に問題はない、と判断した。 無論、対峙するライバルたちからは参戦を危険視する声は尽きない。75キロ級の豪州代表であるケイトリン・パーカーは、現地時間7月31日に母国の公共放送『ABC News』などで「彼らがスポーツ、特に格闘技に参加することを私は許すことに賛成できない。それは非常に危険だから」と強調。一度、性別適格性検査に引っかかった経歴がある二人の参戦に警鐘を鳴らした。 「私も男性選手とスパーリングをしたことがないわけではない。だけど、ボクシングに限らず格闘技では、力の差が危険を伴う可能性がある。だからこそ、真剣に検査をする必要があると思う。生物学的に、いや遺伝的により多くの利点があるのは間違いない。女子ボクシングは2012年に五輪に導入されたばかりだけど、今後100年、200年も続けられることを願っているわ」 波紋を呼んでいるケリフとリン・ユーチン。そのパフォーマンス次第では、今回の参戦に対する議論はより大きくなっていきそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]