「男らしくしなさい」パリコレ“トランスジェンダーモデル”にして実業家の矢神サラが幼少期に感じた生きづらさ。「骨切り」の整形と性転換で総額2000万、夜の世界に憧れて…
六本木のミックスバー「GENIE」とおばんざいスナック「とき」の経営者であるだけでなく、YouTuber、モデルなど幅広く活動している矢神サラ(やがみ・さら)さん(32)。また、人気YouTubeチャンネル「令和の虎」にレギュラー出演していることでも知られている。インタビュー前編では、矢神サラさんの生い立ちや整形について詳しく聞いてみた。 〈画像あり〉自宅を大公開。愛犬の家康くんと大事にしている宝物
カミングアウトで涙が出るほど生きやすくなった
–––––矢神サラさんは、どのような幼少期を過ごされたんですか? 矢神サラ(以下、同) 小さいころは、よく女の子とシルバニアファミリーで遊んだり、ビーズを集めたりして遊んでいました。男の子とも仮面ライダーごっこなどで遊んでいましたが、物心ついたときから、男性が好きでしたね。仮面ライダーは「イケメンが見たい!」という理由で観ていました。 小学校に入ってからは男性アイドルにハマって、雑誌をたくさん買ったり、出演番組を観たりしていましたね。関ジャニ∞(現SUPER EIGHT)とKAT-TUNとNEWSの合同ファンクラブ「Y&J」にも入会して“ジャニオタ”したり、仲良しの女の子と推しの話をしたりしていました(笑)。 –––––そういった状況に対し、周りからの反応はいかがでしたか? 小学2~3年生くらいから、学校で「オカマなの?」って言われるようになりました。私は当時から「オカマ」という言葉を差別用語だと感じていたので、否定しなきゃいけないと思って「違うよー」と返していました。一応は否定するものの、本当はそのとおりだったのですが(笑)。 当時は、今よりも多様性が尊重される世の中ではなく、性に関しても「男の子」「女の子」と2つの枠しかない感じでした。なので、学校の先生や祖父母世代からは「男らしくしなさい」とか「女の子とばっかり遊んでいたらダメだよ」って言われていました。 –––––それで悩んだことはありましたか? 義務教育の9年間は、そういった言葉に縛られている感じでしたね。ことあるごとに男女で分けられたり、男の子は短髪にしなくちゃいけないといった校則があったり、いろいろな面で「敷かれたレールの上を走らされているな」と感じていました。 –––––高校に入ってからはどうでしたか? 環境が変わったこともあり、高校は中学校までよりも自由な校風だったので、「男の子大好き」とカミングアウトしていました。当時はカミングアウトできたことがうれしくて、みんなの前で堂々と恋バナができるようになったこと、たったそれだけでも人生がバラ色に見えて、涙が出るほど生きやすくなりました。 –––––どういった経緯でカミングアウトしたんですか? 人生で最初にカミングアウトした相手は、親友の女の子だったんですよ。その子とは“ニコイチ”な関係で、よく悩みなどを相談し合う間柄だったんです。 その子にカミングアウトしたときは、2人で泣いちゃいましたね。「大丈夫だよ」って言ってくれて、それがきっかけで、周りの人にもカミングアウトできるようになりました。 –––––カミングアウトしたときの周りの反応は? 想像していたよりも普通でしたね。それで、「そこまで思い悩むほどのことではないのかも」と思えるようになりました。 それでも、親にカミングアウトするときはすごく勇気がいりました。でも、うちのお母さんはちょっと“天然”なところがあるので、「今の子って、結構そういう感じだよね」といった反応でした(笑)。当時から寛大で、すごく理解がある親です。 –––––高校卒業後は、何をしていましたか? 私が通っていた高校は大学進学率が99%で、大学へ行くのが当たり前という環境でした。でも、大学に行ったからといって女にはなれるわけではないし、「学費を払うくらいなら、そのお金で性転換手術したい」って思い、進学はしませんでした。 高校卒業後は、当時日本でも大ブームになっていたK-POPアイドル・少女時代に入りたくて、そのために地元・名古屋から上京しました。それで、韓国の芸能事務所のオーディションをいろいろ受けたんですけど、すべて落ちてしまいましたね。当時は男でも女でもない状態でオーディションを受けていたので、審査員も「どういうこと?」って感じだったと思います(笑)。
【関連記事】
- 【後編を読む】「大腸を切って女性器にした」日本人初の世界的コレクション出演“トランスジェンダーモデル”八神サラ。決死の性転換手術、彼女をささえたオトコたち…
- 子どもを授かったゲイ夫夫(ふうふ)が「親のエゴだろ」「子どもがグレそう」との心ない批判に思うこと。将来、娘に「なんでうちにはお母さんがいないの?」って聞かれたら…
- 〈同性婚の現実〉「男の子が男の子を好きになっちゃいけない」「あんたなんか産まなきゃよかった」夫夫(ふうふ)となった2人が乗り越えてきた困難と「この人のためなら」と思えた運命の出会い
- 「もともと男? そんなの関係ないじゃん」日本で初めて性別適合手術からプロレス復帰するエチカ・ミヤビが目指す「理想のレスラー像」
- 日本初、性別適合手術からのプロレス復帰。エチカ・ミヤビが「女として生きていく」と腹を決めるまで