具象彫刻の魅力伝え 日彫北陸展、富山県民会館で開幕 重鎮や若手作家の秀作87点
●U―20 全国6~19歳力作 第53回日彫北陸展(北陸日彫会主催、日本彫刻会、富山新聞社、北國新聞社共催)は20日、富山市の富山県民会館で一般公開が始まり、富山、石川をはじめ全国の重鎮や若手の作家らが手掛けた87点が具象彫刻の魅力を伝えた。20歳以下の部門「U-20日彫展」には全国の6~19歳の力作が並び、来場者はみずみずしい感性に触れた。 能登半島地震の復興を祈る女性を表現した田畑智功さん(高岡市)の「想いをこめて」=新人賞、北陸日彫会賞=をはじめ、東誠さん(能美市)の「斜(しゃ)」=東京都知事賞=、細川大潤さん(金沢市)の「祈望」=優秀賞=、川向京子さん(加賀市)の「Memory」=富山新聞社社長賞=など、具象の美を追求した地元作家の力作が並んだ。 日彫展本展で審査員を務めた加茂為男さん(南砺市)は「牧場で働く娘」、二塚佳永子さん(高岡市)は「ふたば」を出品した。日本彫刻会正会員の作品は触れることができる。社会福祉士片山雅子さん(69)=南砺市=は「作家たちの創作にかける情熱を感じる」と作品に見入った。 若手作家の発掘と育成を目的に設立されたU-20には入賞12点、入選31点が展示された。最高賞「日彫賞」を受けた布目琴弓さん(高岡高3年)の「おちゃめ」をはじめ、水からジャンプする躍動的なシャチや、愛らしいアライグマやリス、創作した怪獣など、細部にまでこだわった作品が来場者の目を引いた。鑑賞した会社員岩口藍さん(30)=富山市=は「動物をよく観察して表現されている」と感心した。 今年の北陸展には初めて富山視覚総合支援学校の児童生徒らが17点を寄せた。森田蒼史郎さん(小学部)の「猫のレモンちゃん」をはじめ、シイタケやリンゴなど身近なものをモチーフに紙粘土で仕上げた。訪れた川瀬木麗子さん(75)=高岡市=は「粘土の感触を楽しみながら作ったことが伝わってくる」と話した。 日本彫刻会は国内最大の彫刻家団体。北陸展は4~5月に都内で開かれた本展の巡回展で富山と石川で毎年交互に開かれている。会期は24日まで。入場料は無料となっている。