人工雲を利用して太陽を遮断!? 米研究チームが初の屋外試験を実施…地球温暖化対策に
温暖化抑える「SRM」の一手法
現在、気候変動を抑制するため、太陽放射修正(SRM)と呼ばれる分野の研究が進んでいる。地球に降り注ぐ太陽光のうち、宇宙へと跳ね返される割合を増やすことで温暖化を抑える手法を指す。 マリン・クラウド・ブライトニングは、この太陽放射修正を実現する手法のうちの一つだ。より広義には、「ジオ・エンジニアリング」とも呼ばれる。気候変動抑制のため、人為的に気候システムを改変する行為をいう。 地球温暖化を抑制する本来の方法は、温暖化ガスの排出を削減することにある。しかし、現状のペースで排出が続く場合、産業革命前に比べて気温上昇を1.5度以内に抑えるという国際目標の達成は困難だ。 一方で、マリン・クラウド・ブライトニングの手法にも課題は残る。ワシントン大学は、本プロジェクトの実施を発表するプレスリリースのなかで、「しかし、このような介入を検討する前に、それ(マリン・クラウド・ブライトニング)が気候システム、海洋、陸上生態系にどのような影響を与えるか、十分に理解することが重要である」との認識を示している。 同大学の研究チームとしては、本手法を積極的に推進したい意向ではないという。将来的にやむを得ず必要になった際に備え、本手法が現実的か、事前に判断を付けておきたいねらいだ。気候対策の切り札となるだろうか。
文:青葉やまと