「長年のよだれや汗の悪臭で吐き気がする……」国を守る自衛隊員たちの想像を絶する悲惨な生活実態
防衛予算枠と労働環境
11月21日、衆議院第一議員会館で、自衛隊員の待遇改善を求めて国への請願活動を行う「自衛官守る会」が、国会議員との情報交換会を行った。会合では自衛隊OBらから、厳しい労働環境や生活環境について報告があった。勤務実態の報告に議員から「このような過酷な状態とは承知していなかった」と驚きの声が上がった。 【写真あり】うわっ、吐き気が……長年のよだれや悪臭がしみ込む自衛隊員が使う枕 自衛隊は’76年に三木政権によって防衛費1%以内の枠が決められ、昨年まではそれに近い数字で推移した。予算が長期制限されたシワ寄せで自衛隊員の生活環境はギリギリまで切り詰められ続けていたのだ。 自衛隊員は他の労働者と違い、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法、並びにこれらに基づく命令の規定等が自衛隊法第108条で適用外となっている。どんな劣悪な労働環境でもすぐさま違法とならない。だから、劣悪な生活環境を国は顧みることがなかった。その結果、自衛隊員の募集は低調となり、中途退職者も増え、必要な隊員がおらず、活動に支障がでるまでになった。 自衛隊は幹部候補生として入隊する隊員と一般曹候補生や自衛官候補生として入隊する枠がある。一般枠で入隊すると最低でも2年間は自衛隊の拠点内の「隊舎」と呼ばれる場所で集団生活する。自衛隊では外面を取り繕うが、隊員だけの隊舎の風呂や洗濯機、空調等は壊れたまま放置されることが多い。節電のために熱帯夜でも空調は切られ、熱中症対策に水道水を浴びる隊員に「夜中の自由行動は禁止されているが、目をつぶったものだ」と元幹部自衛官は言う。 【自衛隊隊舎】 自衛隊隊舎の寝具も衛生的だとは言えない。たとえば枕だ。 「長年のよだれや汗の悪臭で吐き気がする。新しいものに変えてほしい」と訴えると「みんな我慢している。文句を言うな」と厳しく叱責されたそうだ。 「写真で紹介している枕はまだキレイなほうだね。中身のスポンジが腐って黄色くなった枕に俺は透明の30㍑用ビニール袋を巻いて、その上からタオルをかけて眠ってました」 枕の写真を見て、OBからもこんな追い打ちのコメントが出るほどだ。 予備自衛官(即応予備自衛官も含む)たちは常勤自衛官よりも、さらにヒドイ生活環境となる場合が多い。訓練出頭時に「外来宿舎」という場所に彼らは宿泊することが多いが、これは不要で破棄された寝具やベッドがある場所だ。 たとえば、’82年製造、40年前のサビだらけの2段ベッドが現役で使われている。他に寝具はないのでこれの上にタオルや毛布を掛けて、その上に寝袋を置くなどできる限り直接皮膚にその寝具が触れないように眠る。訓練で疲れ果て、直接その上で寝た経験のある隊員によると「大量のダニがいてむきだしの皮膚が真っ赤に焼けただれたようになり、その痒さは想像を絶する」ということだった。