東京都知事選、進む「立・共」共闘 包囲網構築狙う自民
20日に告示される東京都知事選(7月7日投開票)を巡り、与野党の思惑が交錯している。現状では、3選を目指し立候補する方針の小池百合子都知事(71)、無所属で出馬する立憲民主党の蓮舫参院議員(56)の争いを軸に、自民党が小池氏、立民と共産党が蓮舫氏をそれぞれ支援する構図が有力視される。岸田文雄首相(自民総裁)周辺では、日本維新の会を小池氏陣営に取り込み「保守対革新」の選挙戦に持ち込む構想も浮上している。 【表で比較】小池百合子都知事と蓮舫氏の主な経歴 立民と共産は、国政選挙での野党連携を支援してきた「市民連合」とともに都知事選の候補者選定委員会を設け、5月27日の選定委会合で蓮舫氏を支援することを確認した。 翌28日付の共産機関紙「しんぶん赤旗」は、小池晃書記局長や蓮舫氏が並んだ写真を添え、選定委の決定を1面トップで報じた。公認候補かと見まごうほどの力の入れようだ。 立民にとって、安定した集票力を持つ共産を味方につけるメリットは大きい。 ただし、安全保障や憲法などの基本政策で隔たりがある共産と手を携えることで、野合批判を招きかねないというリスクも抱える。立民の泉健太代表は7日の記者会見で、共産や市民連合とともに蓮舫氏を支援する構図への評価を問われると「蓮舫氏は無所属で戦う。そういった構図ではない」と強弁した。 立民の「弱み」を自民が見逃すはずはない。 首相は5月31日、維新の馬場伸幸代表と会談して政治改革に関する合意文書を交わした。政治資金規正法改正案の審議への協力を得るために自民側が求めて実現した党首会談だが、都知事選での連携の地ならしを図る狙いもあったようだ。 首相周辺は「維新も、共産と選挙で組む姿勢を疑問視している。保守対革新の構図にしていく」と語る。 「非共産」の枠組みであれば、共産との選挙協力を否定する国民民主や連合とも親和性が高い。国民民主の榛葉賀津也幹事長は7日の会見で、都知事選で共産と組む立民を「立憲共産党だ」と批判し、蓮舫氏を支援する可能性を否定した。 自民が「非共産」野党の軸として期待を寄せる維新は、来週初めに独自候補擁立の可否を決める予定だ。立てない場合は改めて対応を協議するが、党内には「小池氏を応援してわが党にメリットはあるのか」(幹部)との意見もあり、自民の思惑通りに事が進むかは見通せない。(松本学、永原慎吾)