中京大が3―0で中部学院大に勝利し42年ぶり8強 昨年まで学生コーチだった安藤利玖が初完封/大学野球選手権
全日本大学野球選手権第3日(12日、中京大3-0中部学院大、2回戦、神宮)中京大(愛知)が中部学院大(東海)を下し、42年ぶりに8強へ進出した。昨年まで学生コーチだった中京大の安藤利玖投手(4年、安城南)が6安打9奪三振の無四球で初完封した。準々決勝は13日に神宮球場で行われ、2連覇を狙う青学大(東都)と対戦する。 右腕の安藤が大学生になって初めて完封し、笑顔を弾けさせた。 「完封は想像もしていなかったのでうれしい限り。ウルっときた」 九回2死二、三塁のピンチで投じた134球目は、渾身(こんしん)の142キロの直球。一ゴロに抑えると、涙をこらえるために青空を見上げた。 半田卓也監督(41)が「まさかの完封。ここまで投げるとは思わなかった」と驚くのも無理はない。1年時の8月に下半身強化のため、ジャンプの練習をしていた際に右膝の半月板を断裂。歩けない時期が長く、医師から「ちょっと復帰は難しいかもしれない」と告げられた。「気持ちが切れて、大学野球を諦めた」と2年からは学生コーチを務めてきた。 昨秋、打撃投手を務めたときに投げた145キロ前後の速球が認められ、選手として再挑戦。4月7日に救援でリーグ戦デビューし、負ければ優勝の可能性が消えていた5月6日に初先発して、5回5安打1失点と好投。勝った方が優勝の5月20日の中部大戦でも先発を託されて5回4安打無失点で、リーグ優勝の原動力になった。 これまでは5回が最長だったが打者の内角を厳しく攻めて投げ切った。「コーチの時も体の柔軟性を保つトレーニングを欠かさずやってきた。積み上げてきたものをマウンドで出すことができた」と安藤は感慨深げに語った。 1970年大会優勝の強豪も昨秋は最下位に沈み、入れ替え戦を経験した。今年のチームスローガンは「鰯(いわし)」。その心を「弱いことを自覚し、大群になって戦おう」と監督は説明する。10日の1回戦ではエース右腕の高木快大(はやと、3年、栄徳)が完封し、2戦連続の無失点勝利。苦労人のヒーローも生まれ、一丸になって準々決勝では王者青学大に挑む。