【高校野球】弘前学院聖愛が4強…ノーサイン野球で4盗塁し仙台育英に3連勝…原田一範監督「自立してきましたね」
◆春季高校野球東北大会準々決勝 弘前学院聖愛7―6仙台育英(15日・仙台市民) 弘前学院聖愛(青森)が仙台育英(宮城)に7―6で競り勝った。伝統のノーサイン野球で4盗塁とかき回し、直近の対戦では3連勝となった。 弘前学院聖愛ナインは、極度の緊張感すら成長につなげていた。9回2死一、三塁、リードはわずか1点。最後の打者を空振り三振に斬ってウィニングボールをつかんだ加藤陽琉(はる)捕手(3年)は「喜びと解放感が入り交じった感覚。神経がすり減るような場面から一気に解き放たれました」と笑顔を見せた。 22年夏の甲子園優勝、23年夏準優勝の強豪との対戦を前に、原田一範監督はナインへ「接戦、劣勢ウェルカム」と伝えて緊張をほぐした。9回の守備前にもあえて「ランナー出た方がいいよ」と話しかけた。夏の大会に照準を合わせ、一つでも多くの修羅場をくぐらせる狙いだ。仙台育英には19年春の東北大会準決勝、22年春の準々決勝と3連勝し、スコアはこの日を含め全て7―6(22年は延長11回)。「強くなるには接戦を乗り越えないと。なかなか自立してきましたね」と目を細めた。 伝統のノーサイン野球を貫き、4盗塁はすべて選手の判断で行った。普段の練習では、1秒で帰塁できる距離を長くできるよう徹底。加藤は「帰塁に自信がつけばリードを大きく取れるようになるので」と説明した。3回、5回とも上位打線の盗塁からチャンスを広げると、5番の加藤が2打席連続の右前適時打を放って得点を重ねた。相手内野陣の失策にもつけ込んだが「足がある分、相手は焦ってエラーが増えたと思います」と胸を張った。 5月の県大会決勝では、昨秋から東北で13連勝中だった青森山田を破り優勝。今大会はともに準決勝に進出し、昨秋(青森山田3〇0八戸学院光星)に続き、決勝が青森対決になる可能性が出てきた。「決勝では勝ったけど、僕たちはチャレンジャー。もう一度挑戦するつもりで臨みます」。甲子園王者を倒しても、油断や慢心は一切ない。 (岩崎 敦) **** 仙台育英は2度の適時失策が絡み、弘前学院聖愛に接戦で敗れた。初回に先制も、1―1に追いつかれた2回2死二塁で二塁手のエラーで2点目を献上。5―4とリードしていた5回1死では悪送球と後逸の2連続エラーで同点に追いつかれた。仙台育英の須江航監督(41)は「あれだけエラーが出たら失点する。総合的に課題がある」と悔やんだ。 それでも指揮官は夏の県大会に向けて前向きだった。昨年は守備から練習して東北大会後に打撃を強化したが、夏の甲子園で守備が崩壊。今年は打撃を先に特訓しており、守備はほとんど練習していなかった。「まだ甲子園に出るイメージは全く沸かないですけど、残りの時間で出場するイメージが沸くように練習していきたい」と守りを強化し、力をかみ合わせていく。
報知新聞社