小説家・深緑野分さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」5冊「1巻ながら作者の最高傑作となる予感」
深緑野分さんの「マンガを読むときのマイルール」
「気になったら即買って読む。時間とお金は惜しまない」
注目している新人作家とその作品は?
◆『カグラバチ』外薗健/集英社 刀匠を志す少年チヒロが、刀匠の父を亡くし、妖術を駆使して悪と闘うバトルアクション。寡黙で冷徹なダークヒーローが復讐に生きる物語。 「大胆なコマ割りや圧巻の構図、戦闘中に数分前の和やかな会話シーンを唐突にカットバックするなどのかなり風変わりな演出を使う作家で、マンガというよりハイセンスなバイオレンスアクション映画に近い。マンガ作りの才能が光りまくっていて今後きっとすごいマンガ家になると思います」
食欲の秋に読みたくなる「グルメマンガ」は?
◆『ハクメイとミコチ』樫木祐人/KADOKAWA 森で暮らしている小さなふたりの小人、ハクメイとミコチ。家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……。1話完結のほっこりとした森の日常劇。 「4巻の最後に収録されている列車旅からハクミコ沼にはまりました。寒い冬、夜汽車の中の売店でおばあちゃんが食べる揚げ山芋のしゃくしゃく感。凍える真夜中に途中駅で買った熱々の生姜天とお茶。そして、列車の乗務員が無料でくれたあんまりおいしくはないけど温かく優しいコーヒー。ハクミコに出てくる食べ物はなにもかもがうまそうで、真夜中にお腹がぐうぐう鳴る」 小説家 深緑野分(ふかみどり・のわき)さん 2010年、「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ! 新人賞佳作に入選。13年に入選作を表題作とした短編集でデビュー。『戦場のコックたち』(東京創元社)、『スタッフロール』(文藝春秋)で直木賞候補、本屋大賞ノミネート。『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)でTwitter文学賞国内編第一位、直木賞候補、本屋大賞ノミネート。 発表! CREA夜ふかしマンガ大賞2024 眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。
大嶋律子(Giraffe)