「レジ袋を有料化した」と猛バッシング…日本国民が大騒ぎする「小泉進次郎氏の失言・失態」を検証する
■ペットボトルを投げつけられた苦い経験 大臣就任から約1年がたった2020年8月、私は進次郎に単独インタビューを申し込んだ。 この間、進次郎への誹謗中傷はやむことがなかった。一方、インタビューの前月には、日本が石炭火力発電から脱却しないとの批判に応えるかたちで、石炭火力発電輸出プロジェクトについて、「脱炭素化に向けた方針が把握できない場合は原則として今後公的支援はしない」という政策変更を実現していた。 バッシングについて聞くと進次郎は、「まあ、そういうモードになると、マスコミは止まらないね」と苦笑した。振り返れば2009年の初出馬の際、進次郎には世襲批判が浴びせられ、選挙期間中「横須賀から出ていけ」と罵倒され、足を踏まれ、ペットボトルを投げつけられた。 ■若い人の声を取り入れ「気候危機」に 進次郎は「あのときに似ているなあと思いましたよ。そのときはしょうがないと思って、淡々とやっていくしかないと思っていたから。でも面白いのは、人って叩き続けると飽きるんですよ」と語った。そして「まあ、相当叩かれましたからね。でも批判が収まるのを待っていたんじゃなくて、戦い続けていましたよ」と続けた。 環境大臣に就任してから1年、進次郎はさまざまな改革を行っていた。環境省では2020年に初めて「環境白書」で「気候危機」という言葉を使った。「気候変動」ではなく「気候危機」とした意図を進次郎に聞くと、「僕が大臣のうちに、若い人たちの声をできる限り取り入れたいと思っていた」と答えた。 「継続的に若い人たちの団体とも意見交換をしているなかで、気候危機宣言をしてほしいと言われたんです。そして閣議決定する『環境白書』をきっかけに気候危機宣言をしようと決めたのですが、若い人たちの声を無にしないという想いからですね」
■「気候変動への取り組みは前より進んでいる」 世界では若い世代を中心に環境への意識が高まっている。進次郎はこう続けた。 「世界各国を見ていると気候変動アクションをリードし、政府に対して訴えているのは、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんを代表とする若い世代です。ただ日本の中では、比較的その動きが弱い。それは気候変動に限りませんが、若い人たちは自分たちが声を上げても、政治が本当に聞いてかたちにしてくれるのか、すごく疑問に思っているんです。だから僕は、それはちゃんと政治に届くことを見せたかったんですね」 ただ、環境省が独自に気候危機宣言をすることに対しては、省内外から反対する声もあったという。 「すんなりいかなかったですね。羽交い締めとはいかないまでも、片手で押さえるくらいはありました。省内にもこの影響を気にするところがあって。ただ僕は『そこはまったく気にするな』と言いました。環境省が気候危機宣言をするのに、何を憚る必要があるのかと。僕が求めているのは、ほかの省にやってくれということではなくて自前でやるのだから」 また、日本企業の気候変動への取り組みについて聞くと、「間違いなく前より進んでいると思います」と語った。 「かつて経済界には、環境省を『経済や雇用を気にせずに、環境のことばかり言っている環境至上主義』とか、『あいつらには経済や雇用がわからん』という認識があったかもしれません。しかし経団連はまるで『こちらもやっているんだから、環境省はもっと頑張れ』というふうな、前向きな関係性に変わったと思いました。この流れをしっかり加速させないといけないなと思います」 ---------- 鈴木 款(すずき・まこと) ジャーナリスト・フジテレビ解説委員 北海道函館市生まれ。神奈川県立小田原高校、早稲田大学政治経済学部卒。農林中央金庫を経て、1992年フジテレビに入社。政治部、ニューヨーク支局長、経済部長を経て現在解説委員。教育、人権問題をライフワークとして取材。FNNプライムオンライン、教育新聞、東洋経済オンライン他で執筆中。2022年、第4回ソーシャルジャーナリスト賞受賞。著書に『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉』(扶桑社新書)、『日本のパラリンピックを創った男 中村裕』(講談社)、『日経電子版の読みかた』(プレジデント社)、共著『世界標準の英語の学び方』(学陽書房)、編書『日本人なら知っておきたい 2020教育改革のキモ』(扶桑社)。大学でメディアリテラシー、ジャーナリズムの講義を行う。映倫の次世代への映画推薦委員。はこだて観光大使。趣味はマラソン。2017年にサハラ砂漠マラソン(全長250キロ)を走破。2020年早稲田大学院修了。 ----------
ジャーナリスト・フジテレビ解説委員 鈴木 款