Jリーグが待望する「ビッグクラブ」候補の横浜M 求められる世界で戦い続ける気概
サッカーJ1の横浜Mにとって、志の高さを問われるシーズンとなる。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝で敗れて深い傷を負っても、波に乗り切れていないJ1を軸とした国内の戦いは続く。横浜MはJリーグが台頭を待ち望んでいる国際的な知名度を誇る「ビッグクラブ」の有力候補。今秋、装い新たに開幕するACL・エリート(ACLE)の出場権獲得に満足することなく、毎年のように世界で戦い続ける気概をみせてほしい。 【写真】アルアインに敗れて初優勝を逃し、肩を落とす榊原(左)をねぎらう横浜M・喜田 傷心の敗北だった。アルアイン(アラブ首長国連邦)と対戦したACL決勝は5月11日にホームの第1戦を2-1で制しながら、引き分けでも初のアジア制覇だった25日の第2戦はアウェーで1-5の大敗。2戦計3-6で敗れて千載一遇の機会を逃し、主将の喜田拓也は「力が足りなかった」と繰り返した。 新設された今年のクラブ世界一決定戦「インターコンチネンタル・カップ(杯)」と、来年の「クラブワールドカップ(W杯)」への出場もならず。上島拓巳は29日の柏戦後「引きずっている」とACL敗戦の痛手を口にしつつ、「得た経験は次にいきてくる。ACLに出続けるためにはJ1で上位にいなければいけない」と懸命に前を向いた。 Jリーグは日本サッカー界成長のカギの1つに「国際的な知名度を誇るクラブの育成」を挙げている。スペインのレアル・マドリードやバルセロナ、ドイツのバイエルン・ミュンヘン、フランスのパリ・サンジェルマンといった一部の強豪が各国リーグの価値を著しく高めているように、Jリーグの価値を高める「ビッグクラブ」の登場を心待ちにしている。 それを後押しするため、J1とJ2のリーグ配分金比率を段階的に2対1から5~6対1へ変え、これまでの均等配分金を中心とした構造から競技成績や人気に応じた配分中心にシフトする方針も打ち出している。狙いは結果を出したクラブが得る利益を拡大し、得た利益をさらなる成長へつなげてもらうことだ。 横浜Mは前身の日産自動車時代から日本サッカー界を引っ張り、1993年のJリーグ開幕以降も5度のリーグ制覇を含めて天皇杯、YBCルヴァン・カップの国内三大タイトルを計7度獲得。鹿島とともにJ2降格経験がなく、4度目のリーグ制覇を果たした2019年以降も魅力的なアタッキングサッカーでコンスタントに上位を維持している。