【三大からくり人形祭り】愛知「亀崎潮干祭」・岐阜「春の高山祭」・茨城「日立さくらまつり」:山車をステージに圧巻の演技と曲芸を披露
茨城「日立さくらまつり」
(日立市、4月上旬の土日) 茨城県北東部・日立市で花見シーズンに開かれるさくらまつりは、「風流物(ふりゅうもの)」と呼ばれるからくり人形の山車を目当てに2日間で延べ55万人が訪れる(2024年は4月6-7日)。高さ15メートル、5段の舞台を持つ巨体は5階建てのビルのようだ。正面の御殿が次々と開くと、幅8メートルの大舞台が登場する。人形の仕掛けのために乗り込む男たちは40人近くもいる。 最上段の天守閣がせり上がると、各段の人形が「源平盛衰記」「忠臣蔵」「花咲爺」といった時代物やおとぎ話を演じ始める。フィナーレでは武者人形が一斉に華やかな女人形に変身して、総踊りで観客を魅了する。 その芝居が終わると山車は180度回転し、後部の「裏山(うしろやま)」で別の芝居を上演する。実に大掛かりな回り舞台だ。 山車からくりは日立市宮田町の4地区に1台ずつ伝わり、年代わりでさくらまつりにお目見えするのだが、7年に一度、氏神の「神峰(かみね)神社大祭礼」では4台が一斉に繰り出す(次回は2026年5月3-5日を予定)。大祭礼は1695(元禄8)年に水戸藩主・徳川光圀の命で付近一帯の総鎮守となった頃に始まり、享保年間(1716~36年)に人形芝居が加わった。地域が出来栄えを競い合った山車は大きく華美に進化して、現在の日立風流物が生まれたという。 ※祭りの日程は例年の予定日を表記した 写真=芳賀ライブラリー
【Profile】
芳賀 日向 国内外の祭りを追い続ける写真家。1956年生まれ。祭りや民俗芸能の写真と資料をアーカイブする「芳賀ライブラリー」代表。日本写真家協会会員、藝能学会会員、全日本郷土芸能協会会員。『週刊朝日百科 日本の祭り』(朝日新聞出版)シリーズ連載、『知れば知るほどおもしろい! 日本の祭り大図鑑』(PHP研究所)監修ほか著書多数。