高齢化が進むJリーグファン 2ステージ制は起爆剤となるか
もっとも、こうした数字を悲観的にとらえすぎる必要もないのではないだろうか。 モンテディオの取材で、クラブハウスのある山形県天童市を訪ねた今年2月のこと。クラブの悲願だったJ1昇格を果たした2009年シーズンと、4シーズンぶりにJ1へ復帰する今シーズンとの違いに関して、クラブ関係者からこんな話を聞いた。 「2009年シーズンはサポーターの方々も何となく新参者のような感じで、対戦チームを見にくるような雰囲気もありましたけど、いまは腰を据えてモンテディオを応援していただいていると感じますよね」 たとえばレッズをホームに迎えたときには、近隣地域からの来場者が殺到して周辺のホテルがすべて満杯になったことがある。2011年シーズン限りでJ2へ降格したが、ホームタウンの熱は冷めるどころか「一緒にJ1へ上がろうというムードが生まれた」とクラブ関係者は続けた。 「年配のサポーターがものすごく増えましたよね。JFLからJ2に昇格した頃ではまったく考えられないことですし、年配のサポーターが子どもさんやお孫さんを連れてスタジアムに来るんですよ」 ここまで取り上げてきたスタジアム来場者の平均年齢は、原則として11歳以上の来場者を対象として算出されている。その一方で、試験的に11歳未満の子どもを含めたすべての来場者を対象とした場合には、平均年齢は一気に34.1歳にまで下がっている。 核家族化や少子化が比較的進んでいない地方は、山形を含めてそうした傾向が特に強いと言ってもいい。もちろんクラブがその地域にしっかりと根差し、ホームタウンに住む人々にとって必要不可欠な存在となっていることが大前提となる。モンテディオのケースは県民気質を象徴するように苦難を耐えて忍び、粘り強く食い下がるスタイルを追い求めてきた軌跡がサポーターの機微にも触れたわけだ。 もっとも、年配のサポーターに連れられてきた子どもたちが目の前で繰り広げられた攻防を面白いと感じなければ、おそらくリピーターにはならない。2ステージ制の盛り上がりを見て、仲間同士で「一度くらい行ってみようか」とスタジアムを訪れる大都市圏のライト層にとっても、同じ図式が当てはまる。 今シーズンからのJ1 開催方式の変更はあくまでも手段のひとつ。どんなときでもピッチの上で全身全霊のプレーを貫く。あるいは、ホームタウンの人々とともに歩んでいく姿勢を忘れない。こうした大前提を実践せずして、Jリーグの未来を論じることもまたできない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)