第93回選抜高校野球 明豊高の保護者会「同じ夢を追い」 炊き出しで選手支え /大分
<センバツ甲子園> 3月19日に開幕する第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)で、21世紀枠で初出場の東播磨(兵庫)とぶつかる明豊。晴れ舞台を前に、選手の保護者でつくる「白球之会」がグラウンドで炊き出しをしている。古里を離れて野球に打ち込む選手も多く、心を込めて握るおにぎりや温かい汁物で元気づけている。【辻本知大】 ◇パワーの源、米は1回70合 「甲子園に出られる力はない」。昨年夏の新チーム発足時は川崎絢平監督からそう評価されるほど危ぶまれたスタートだった。それでも寮で暮らしながら懸命に練習する選手たちの姿に、内野手の和才蒼空(わさいそら)選手(2年)の父親で保護者会長を務める竜也さん(40)は心を打たれたという。 「プレーをするのは選手。教えるのは指導者。親ができることは少ないんです」。そんなもどかしい気持ちを抱えながらも保護者会として選手たちを少しでも支えようと昨年9月から時々炊き出しをするようになった。甲子園を目指して例年より激しい冬の練習に励む姿を目の当たりにすると、「体力を使った分、うまい飯を食べさせたい」と昨年12月ごろから毎週土日、グラウンドに通い始めた。 県内在住の保護者を中心に毎回10~30人が集まって調理する。部員の半数以上が県外出身者で関西から来た選手が多い。実家に帰るのは年末年始の約1週間だけなことから、「手料理を食べさせたい」とマスクと手袋をし、アルコール消毒で新型コロナウイルスの感染対策も万全にして心を込めて調理する。 寒空の下でグラウンドを走る選手たちは、練習の合間におにぎりをほおばり、豚汁や中華スープを飲んで体を温める。センバツを前にウエートトレーニングで体作りをする食べ盛りの選手のため、おにぎり用に用意する米は1回70合にも及ぶ。 遠方に住んでいるため練習に顔を出すことが難しい保護者たちはいろいろな食材を送って協力する。福岡県の保護者から届いたのは「明太子」。別の保護者から届いた鶏肉でつくったのは宮崎名物の「チキン南蛮」。選手は炊き出しで各地の古里の味を楽しんだ。 グラウンド近くの火男(ほのお)火売(ほのめ)神社で必勝祈願をした21日は「勝つ」にかけてカツカレーを振る舞った。米田友選手(2年)は「温かくておいしい。朝からの練習でおなかがすくので、ありがたいです」と笑顔を浮かべた。 保護者会の和才会長は自らも野球経験者だけに「子供たちの成し遂げたことのすごさは分かる。親も子供たちと同じ夢を追っていているんです」と話す。【辻本知大】