仕事は「締め切りギリで完璧」と「早いが最低限」どちらが評価されるか…100冊の時間術本が導いた最終結論
仕事において、完成度とスピードはどちらが重視されるのか。編集者の藤吉豊さん、小川真理子さんは「時間術の名著100冊に書かれてあった共通のノウハウを洗い出したところ、『完璧を目指すより、まず終わらせる』ことの重要性を書いた本が多くあった」という――。 【図表】80%の成果までの投入時間 ※本稿は、藤吉豊・小川真理子『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)の一部を再編集したものです。 ■完成度とスピードはどちらが重要か 時間術の名著100冊に書かれてあった共通のノウハウを洗い出したところ、「完璧を目指すより、まず『終わらせる』」ことの重要性を書いた本が多くありました。完璧を目指す(=完璧主義)とは、「最初から100点の結果を求める」「時間がかかっても、納得できるまで質を高める」ことです。時間術の著者の多くは、「完璧を求めるのはやめよう」「完成度よりもスピードを重視しよう」「いいものをつくること以上に、締め切りを守ることが大事」と主張しています。 ライフネット生命の創業者で、立命館アジア太平洋大学の元学長・出口治明さんは、 ●丁寧に時間をかけて、締め切りの日にレポートを提出したAさん ●必要最低限の資料しか添付されていないけれど、仕上がり次第すぐにレポートを提出したBさん の2人の部下がいたとき、「仕上がり次第すぐにレポートを提出したBさん」を評価するそうです。理由は、「できあがりが早い分、修正の時間を十分に取ることができる」「『完璧』は作った本人の視点での『完璧』」にすぎないからです。 「これまでの日本の会社では、ともすれば、時間をかけてもミスのない完璧なものを作ることが重要だと考えられてきました。しかし、それは時間も経営資源も無限だという誤解から生じたムダのひとつです」(出口治明『僕が大切にしてきた仕事の超基本50』/朝日新聞出版) ■完璧主義のデメリット 完璧主義は、どうしてよくないのでしょうか。著者たちの考えを以下にまとめます。 完璧主義のデメリット ●スピードよりも質を重視するため、締め切りギリギリになる(締め切りが守れなくなる)。 ●考え込んでしまい、取りかかるのが遅くなる。 ●100点を目指している人にとって90点は失敗なので、自信喪失につながりやすい。 ●ひとつの仕事にこだわるため、こなせる仕事量が増えない。 ●仕事が終わったあとに「もっとよい結果になったはずだ」と後悔しやすい。 ●一度始めたことを「やめる」という決断ができない。 ●「自分でやったほうが質は高くなる」と考え、人に任せることができない。 ●自分の失敗やミスを許容できないため、ストレスや不安を抱えやすい。 ●相手にも100点を求める。自分のやり方が正しいと考えているため、他人のやり方を否定しやすい。