インターハイ男子サッカー Jヴィレッジ開幕まで1カ月 再興の福島県浜通りで最高のプレーを
初の福島県内固定開催となる全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技の開幕まで26日で1カ月となった。全国から多くの選手らが訪れることから、少しでも長く滞在し、震災復興への理解を深めてもらおうと関係者は知恵を絞る。大会県実行委は大会初となる「トゥモローマッチ」を企画し、期間中に練習試合などでピッチを活用してもらう。一方、前例のない大会だけに、食事の提供や情報発信など円滑な運営に知恵を絞る。 「トゥモローマッチ」は、大会県実行委が参加校の長期滞在を促す狙いで企画した。各校が県内で練習試合に取り組める環境を整える。試合が行われないピッチを含め3市町の5カ所を大会期間中、柔軟に使用できるようにする。大会に出場しない県内の高校チームも利用可能だ。開幕前の7月25日からは主会場のJヴィレッジ(楢葉・広野町)をはじめ、大会会場を開放し、事前練習を認める。 背景には、チームの敗戦後、選手らがすぐに福島を離れてしまうのではないかとの懸念がある。いわき市にある大会県実行委の担当者は「いわき市内の宿泊施設に引き留めつつ、選手間の交流の場になる。良好なプレー環境を認知し、利用してほしい」と呼びかける。
Jヴィレッジ専務の大久保毅彦さん(57)は「選手がベストを尽くせるように準備する」と余念がない。ピッチ整備に加え、来場者に復興の歩みを知ってもらう仕掛けを考えた。施設の歴史を壁面に記した「Jヴィレッジストリート」に最新の情報を書き込む他、写真パネルも展示する。東京電力福島第1原発事故の発生直後に作業員の拠点となった時期から、インターハイ開催に至るまでの道のりを来場者に伝える狙い。大久保さんは「地域の姿を知ってもらう機会にしたい」と力を込める。 双葉町にある東日本大震災・原子力災害伝承館企画事業部長の佐藤伸司さん(48)は「この地で起きた災害や復興する姿を伝えたい」と意気込む。 大会県実行委の渡辺亮会長は「初年度大会は手探りの中だが起こりうる課題を想定して積極的に動いている。復興の発信と日本一を決める最高峰の大会運営のため関係団体とさらに連携を強め、成功させる」と決意する。 ■県内の情報発信や円滑な運営へ対策 周辺施設など関係者