初の「M-1決勝」で大注目、結成2年半の新星・ジョックロック 10歳差コンビが大舞台へかける思い
福本:この前も、イベントで初めてご一緒する先輩コンビの方々が出番前に挨拶に来てくださって。こっちはもちろん存じているけど、丁寧に自己紹介していただいたとき、こいつ、ちゃんと聞き取れなくて「えっ、えっ?」とか聞き直したんです。そんなん、自己紹介に決まってるんやから話を合わせればええやないですか。それを「えっ、えっ?」って。そういうリアクションをよくミスるんです。 ゆうじろー:いやあ、いい加減な返事で濁したくないんですよ。それにやっぱり、年上だとか、年下だとか、そういう壁はなくしていかなきゃいけませんし。 福本:いや、やめてくれ!『M-1』決勝でも、ネタ終わりの平場が心配なんです。審査員の方や、司会の今田耕司さん、上戸彩さんへの受け答えが怖いです。点数が出たときとか、審査員さんのコメントで「えっ、えっ?」とかやりそうで・・・。点数が出ても「はぁ?」とか言ってしまうんですよ、こいつは。 ──ただ、あのネタのシステムは決勝戦でもかなりハマりそうな気がします。そもそもゆうじろーさんとのかけ合いのなかで、福本さんは観客側を向いてツッコミを入れますよね。福本さんは、ゆうじろーさんに向けてあのツッコミをやるのは「コントすぎる」から、観客側を向くようになったとおっしゃっていました。 福本:お客さんへのあの語りかけって、メタフィクションなんです。漫才コンビってある意味、2人落語みたいなもの。2人で役を入れ替えるなどコント的なお芝居をやったりして、物語を伝えていく。ただ、僕がお客さんの方を向くことで現実との繋がりが生まれるようにしているんです。
──つまり、映画の手法で言うところの「第四の壁を壊す」ですね。突然、物語の登場人物が映画鑑賞者に語りかけるという。 福本:そうですね。舞台上でなにかを演じる僕らと漫才ってフィクションの一方で、お客さんはリアルなもの。その間には見えない壁があるんですが、僕のあのツッコミでそれを壊すというか。もともとこいつに向けてツッコミをやっていたけど、お客さんの方を向くようになったらウケるようになって。で、こいつはツッコミの間も演技を続けて、その物語の世界に存在しているという。 ──ゆうじろーさんは「舞台装置」として演じていくと。 福本:彼がふってきたことを僕がやる。僕が言い出したら嘘っぽくなるんですけど、ネタ中は彼が神の視点ではあるんで。 ゆうじろー:・・・神っすか。僕が神? 福本:神でよろこぶな!そんなえぇ意味で言ってないわ(笑)。 ゆうじろー:でも僕は演技にはもともと興味があって。NSC生のときも演技選抜に入れたくらいなんです。稽古初日に遅刻して授業には参加できなくなりましたけど(笑)。ただ、いつもスッと役になりきれるし、漫才中に役柄や台詞が変わるときもスムーズに切り替えられる。昔からモノマネが好きで、動画投稿でもその辺にいる人のモノマネをしているのが力になっている気がします。