13年落ち&走行距離5万kmのフェラーリ、新車当時へ復活!? 施工費“21万7500円”の意味を考える(連載:33歳、フェラーリを買う)
29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからまたフェラーリを購入した! はたして、2回目の“跳ね馬ライフ”はいかに? 【写真を見る】21万7500円の内訳と詳細(20枚)
半信半疑
わがカリフォルニアは5万km近く走っていることもあって、輝きがない。 新車時を知らないので、納車してすぐ、行きつけのガソリンスタンドで徹底的に手洗い洗車を依頼したものの、シミや汚れが落ちたのみで、「ビアンコアブス」と呼ぶホワイトは、 ちょっと褪せている。 いくら安価だったとはいえ、995万円もしたフェラーリである。もう少し美しくならないのか……輝きが増せば、購入満足度は高まるはず。なんてたって、清水の舞台から飛び降りて購入した“愛馬”だ。美しく保つことは愛情のバロメーターでもある。いとしのカリフォルニアだけに、できる限り大切にしたい(リーズナブルに)。親バカでスイマセン。 そんなとき、友人から「EXキーパー」を勧められた。 EXキーパーとは、KeePer技研が提供するカーコーティングだ。かつて乗っていた360モデナにもKeePer技研の「Wダイヤモンドキーパー」を施工したが、それよりも1クラス上である。キーパーブランド最上級メニューである。その分、施工価格も高くWダイヤモンドキーパーの約1.5倍! はたして1.5倍の効果はあるのだろうか……。ただし、ボディコーティングは、洗車時につく傷を抑えたり、塗装の劣化を防いだり、と、車体を保護する効果もある。その効果がさらに高まるのであれば、1.5倍でもいいか……いや、よくないかも。 半信半疑で「キーパーラボ用賀店」に向かった。 早速EXキーパーを申し込もうとすると、「EXキーパープレミアムはどうですか?」と、勧められた。“プレミアム”は標準に対し、トランク・ボンネットの裏・ドアの隅やヒンジなど、外から見えない塗装がされているあらゆる部分にEXキーパーを施工するうえに、超撥水ウィンドウコーティング、ホイールコーティング、レンズコーティングなども含む。ゆえに価格も、標準が14万2000円であるのに対し21万7500円と約1.5倍に! 訊くと、フェラーリを含むほとんどのスーパーカーオーナーが“プレミアム”を選ぶという。 スーパーカーオーナーになった身として、ほかのスーパーカーオーナーがなにを選び、愛馬をどう維持しているのかが気になる。親は木綿着る子は錦着るではないが、ぼくの服はアウトレットで90%オフのものでいい。でも、わがカリフォルニアには「EXキーパープレミアム」ぐらいいいではないか。21万7500円の価値を信じ、思い切って申し込んだ。 まずはボディの汚れ、鉄粉を落とすため洗車を進める。このとき使われるのは「純水」だ。水道水の中に溶け込んでいるナトリウムやマグネシウムなどをほぼ完全に除去した水を使う。訊くと、水道水がボディ上で乾くと、水玉のカタチにミネラルが残り、水シミを発生させるそうだ。純水の場合、原因となるミネラルを除去しているので、洗車後に水シミが残りにくくなるという。 洗車後、ボディが濡れた状態で脱脂作業をおこなう。そしてまた洗車し、脱脂作業。繰り返し作業することで丹念にボディの汚れを落とすのだ。 汚れを落としたあとは、研磨によってボディをなめらかに仕上げていく。難しい作業であるだけに、慎重にスタッフがポリッシャーを動かしていく。 自分自身でもできるのか? 「できなくはないと思いますが、圧を間違えるとボディに傷をつけてしまう可能性があるのでやめた方がよいかと……」 セルフボディコーティングは素人だと危険なようなので、手を出さないようにしようと思う。 そしていよいよコーティング作業だ。EXキーパー用に開発されたコーティング剤を使う。「VP326」と呼ぶ成分などを組み合わせ、より厚みをもたせた。これによって、ツヤと強撥水力を大幅に高め、水シミや水アカの定着をなくし、紫外線によるボディの日焼けを防ぐ。さらに、水洗いだけでも簡単に汚れを落とせるため、洗車の回数を減らすだけでなく、洗車にかける時間も大幅に短縮できるそうだ。 数時間後、仕上がったわがカリフォルニアを眺めて驚いた。 買ったときよりもピカピカである! 995万円&走行距離約5万kmのフェラーリとは思えぬツヤだ。もちろん、コーティングしたばかりだから、美しいのはあたりまえ。気になるのは今後だ。 その後、1週間ほど自宅駐車場(屋根付き屋外)に保管していたところ、ボディにはホコリや汚れが……。「ボディコーティングの効果はこの程度か」と、ガックリしたが、水道水をサーっとかけると、なんと輝き復活! しかも、水シミがつかない! 水洗いするだけで、一瞬にして輝きが戻ったのには感動した。その後も、汚れるたび水洗いすればOK。以前のWダイヤモンドキーパーより美しくなったような気がする。ああ、雨が待ち遠しい。 効果がどれほど持続するかはわからないけれど、3年間はノーメンテナンスとのこと。ということは21万7500円のうち1年間分は7万2500円、月に換算すると約6000円。都心部で手洗い洗車を依頼すれば6000円くらいはかかるから、毎月、洗車することを考えれば高いとは思えないし、ガソリンスタンドに行って待つ時間と手間も省けるから、タイパも良い。 まだ施工して数カ月しか経っていないのでジャッジは難しいけれど、現時点では大満足! もっとも、なにもかもが順調に進まないのが跳ね馬ライフ。実はコーティング施工後、初のトラブルに見舞われたのだ! その模様にくわえ、購入店の対応についてもリポートする。
文と編集・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)