まるで「中国政府のスポークスパーソン」…日本のエリート学生が発した「驚きの一言」
いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。 普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、日本・日本人の謎に迫る話題書『日本の死角』を読みはじめている。 【写真】みんな知らない、「脳がなくても眠る」って一体どういうこと!?
中国の少数民族は集団的権利を認められている?
「日本のエリート学生が『中国の論理』に染まっていたことへの危機感」という文章では、日本と中国のエリート学生が参加する学生団体の討論会の様子が描かれる。 そこで首をかしげる展開が起きたという。 〈学生たちは、事例として沖縄と中国の少数民族を取り上げたのだが、「高い同質性を求める日本社会は、沖縄の人たちを独立した民族として認めず、彼らの独自の言葉も文化も尊重せず、日本の国民として同化する政策を行ってきた。 それに対して、中国の少数民族は集団的権利を認められており、その独自の言葉、宗教、文化は尊重され、教育や福祉において優遇政策がうまくいっている」と説明したのだ。 そして最後に「日本は民族間の境界を曖昧にするが、中国ははっきりさせる。民族の分類が明確になれば、民族アイデンティティを喪失することはない」と結論付けた。 (中略) おそらく、学生のほとんどが沖縄に、中国の民族自治区に出向いて調査してはおらず、間接的にでさえ、現地の状況を詳しく調べたり、関係する人々に話を聞いたりはしていないのだろう。 学生たちが打ち出した極端に単純化されたロジックは、複雑な現実を反映しておらず、そこからつくられた問題解決のためのモデルは、実際に使えるような代物ではなかった。 特に、民族の分類や民族が重視する基本的関心事項を、「誰が、どのように決めているのか」という問いを、学生たちは分析の中に入れていなかった。〉『日本の死角』より) 中国では、党・政府が中心となって民族を規定し政策を実施しているため、基本的に、共産党政権が認める限られた少数民族のリーダー、専門家、社会団体しか、政策の決定・実施のプロセスに関わることができない。そうしたことがまったく考慮されていない発表だったのだ。