福島県川俣町の春日神社 歴史的、文化的価値を再発見 彫刻「白澤」や拝殿など調査 年度内に報告会
福島県川俣町は、町内宮前の春日神社の歴史的、文化的価値の再発見に向けた事業に乗り出した。拝殿には全国的にも珍しいとされる建築彫刻もある。郡山女子大(郡山市)の協力を得ながら、拝殿などの立面図や平面図を作成する。年度内に町内で報告会を開き、町民らに成果を伝える。 同神社は平安時代に創建されたと推定される。現在の拝殿は1740(元文5)年に完成し、町指定有形文化財となっている。豪壮さが目を引き、彫刻は神獣や花鳥など計約150点が確認されている。特に貴重とされるのは中国から伝わった人面牛身の神獣「白澤(はくたく)」で、厄よけや病魔退散の力があると信じられている。 調査は同大生活科学科建築デザイン専攻の長田城治准教授(日本建築史)と学生9人が当たっている。第1弾として9月6日までの3日間、現地を訪問。地元住民らと連携し、拝殿の測量などに取り組んだ。 長田准教授は拝殿と彫刻の調和が美しく、全体として保存状態は良い方と指摘。一方、屋根部分などは早急な修繕が必要と見ている。「文化財を後世に残していくためにも、調査を通じ神社の価値を明らかにしていきたい」と語る。
3年生の馬場麻由さん(20)=伊達市出身=は「多くの人に神社の魅力を知ってもらいたい」と述べた。 (県北版)