棋士の引退 さまざまな引き際の決断 心に響いた木村義徳九段の「これ以上負けました、を言いたくない」
秒読み自体は昔からだが、記録係が読む分には「9」で指せばよいのだが、自分で押すとなると、指して素早く時計に手が行かず、時間切れで何度も負けたからだ。
とはいえ、最後の竜王戦では私らしい将棋で、将棋人生を終えられたと思っている。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。