「極悪女王」でジャガー横田を演じた水野絵梨奈

　９月１９日に世界独占配信がスタートするや、たちまち人気が沸騰し現在も話題になっているＮｅｔｆｌｉｘのドラマシリーズ「極悪女王」。同作で現在も現役で活躍するレジェンドレスラー・ジャガー横田（６３）を演じた、元Ｅ―ｇｉｒｌｓ、Ｆｌｏｗｅｒのメンバーで女優の水野絵梨奈（３１）が本紙の取材に応じ、ジャガー本人が絶賛したというストイックな役作りについて語った。 　「これまでのキャリアでナンバーワンじゃないですか。この作品に参加できたことは『人生の宝』だなって思います」と、水野は言い切った。 　もともと、プロレスと接点はなかった。３年前、どの役をやるか決まっていない段階でオーディションを受け、最終的にジャガー役に決定。水野にとって、映像作品への出演は２０１５年５月公開の映画「Ｚアイランド」（品川ヒロシ監督）以来となった。 　「オーディションは毎回、命がけ。めっちゃうれしかったです。ジャガーさんは、プロレスを知らなかった私でも知っている方。実在する人物を演じるのは初めてだったので、絶対に失礼のないようにしなければならない。そんな責任感やプレッシャーがありました」と振り返る。 　当時のジャガーの試合映像を見て、雑誌のインタビュー記事や自伝を読みあさりジャガーの人物像を徹底的に研究。さらに、「幼少期は泣き虫だったり、ファッションに興味があるとか、意外におちゃめだったりとか、知れば知るほど魅力的で人間らしい方でした」とすっかりジャガーにほれ込んだ。 　Ｅ―ｇｉｒｌｓとしてのデビュー前からダンスに打ち込み、近年は、２本の縄を使って跳ぶ縄跳びの「ダブルダッチ」で世界一に輝くほどの身体能力。同ドラマのレスラー役の女優陣は約２年にわたり役作りに取り組み、受け身、ロープワークなどプロレスの基礎を学んだ。ウエートトレーニングで１０キロほど増量し見事な”レスラー体形”となって撮影に臨んだ。 　ジャガーのストロングポイントはその強烈な目力だった。「他のレスラーとはケタ違いのスピード、そして目力を再現する努力をしました。もう常にジャガーさんでいようと、そこまでしないと失礼だと思った」と撮影期間中はジャガーになりきり、「試合前のアップで縄飛びを跳んでいた」と知り、現場に縄飛びを持ち込んで試合のシーンの撮影前にそれを実践した。 　さらには、持ち前の運動神経や柔軟性で、女子プロレスラーでジャガーが初めて決めた、プロレスの大技、ジャーマン・スープレックスを劇中で見事にさく裂させているのも見どころだ。 　同ドラマの配信後、ＹｏｕＴｕｂｅに水野がジャガーと対面した動画がアップされているが、水野のストイック過ぎる役作りをジャガーも絶賛。「私のジャガー」といとおしそうに水野をハグするほどだった。 　撮影を通じ、「今後、たとえワンクールの作品に出ようが、同じ熱量で挑んでいきたいなっていうのは役者として思いました」。水野は今後の女優業への熱意をみなぎらせた。 　◆「極悪女王」　１９８０年代に女子プロレスブームを巻き起こし、日本史上最も有名な悪役レスラーに成り上がったダンプ松本の半生が描かれている。お笑いタレント・ゆりやんレトリィバァ（３３）がダンプを演じ、アイドル並の人気を誇ったタッグチーム、クラッシュ・ギャルズの長与千種を唐田えりか（２７）、ライオネス飛鳥を剛力彩芽（３２）が演じたほか、当時の「全日本女子プロレス」に所属していたレスラー達をオーディションで選ばれた女優陣が演じ、プロレスの試合のシーンもほぼノースタントでこなした。 　♥水野絵梨奈（みずの・えりな）　１９９３年２月８日生まれ、東京都出身の３１歳。２０１０年４月からＦｌｏｗｅｒ、１１年４月からＥ―ｇｉｒｌｓのメンバーとして活動し、１３年１０月に両グループを脱退。女優として、ドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」（フジテレビ）、「３５歳の高校生」（日本テレビ）、映画「悪の教典」、「Ｚアイランド」などに出演。２０年から本格的にダブルダッチの競技を始め、昨年「ＤＯＵＢＬＥ　ＤＵＴＣＨ　ＯＮＥ＇Ｓ　ＦＩＮＡＬ　２０２３」でソロの女子世界一に、今年の「ＤＯＵＢＬＥ　ＤＵＴＣＨ　ＣＯＮＴＥＳＴＳ　ＷＯＲＬＤ　２０２４」でチームで世界一に輝いた。