「団塊の世代」が後期高齢者に…どうする「2025年問題」 超高齢化が本格化、長崎県内の企業対応急ぐ
今年は「団塊の世代」が75歳以上となり超高齢化社会が本格化する。この「2025年問題」に企業はどう対応するのか-。長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が合同で県内主要企業・団体トップにアンケートすると、7割が業務効率化・自動化を進めている。 選択・複数回答方式で94人が回答。「業務の効率化や自動化」が67人と圧倒的に多かった。ある製造業は「新規雇用機会が激減し、応募人員数は伸び悩んでいる。高齢化に伴う引退・退職が継続して発生しているので、省力化・省人化を極めて高スピードで進める必要性に迫られている」と実情を明かす。各企業・団体からは事例として、人工知能(AI)の活用やペーパーレス化、グループウエアによる情報の即時共有化などが挙がり、放送業の一人は「より少ない人数でのオペレーションが可能な体制を目指している」という。 次点は「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」の45人。旅行業は、一部の事務作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で生産性を上げ、従業員のDXリテラシー(知識や判断力)向上のため研修制度を拡充している。 続いて「高齢者雇用促進」40人、「社員のスキルアップ支援」39人、「女性や若者の雇用促進」38人がほぼ同率で並んだ。 ある建設業は資格取得講習費用を全面支援し、資格手当も付けた。65歳定年制の立法化を提案する団体もあった。情報通信業は60歳以上の中途採用と「男女比率50対50」の実施を挙げた。小売業は従業員の高齢化が進む中、継続雇用後の賃金制度改定に取り組んでいる。造船業は「採用の超売り手市場は今後も継続する見込みのため、特に女性は新卒・中途にかかわらず積極的な採用を進めている」とした。 「定年の延長」は20人が選択した。製造業は社員の経験やスキル、希望に応じて定年延長や有期雇用などで継続して働ける環境を整備した。 同研究所の泉猛主任研究員は「2025年問題は経済の広い範囲に影響を及ぼす」と強調。人手不足にさらされる県内企業に対し、「柔軟な働き方がしやすい環境の整備や賃金水準の見直しのほか、女性の活躍、高齢者や障害者の就業機会確保、外国人材の受け入れなど、ダイバーシティ(多様性)を推進することがより一層求められる」と望んだ。