JR浪江駅の周辺開発 着工 2027年3月完成目指す 福島県浪江町 隈研吾氏デザイン
福島県浪江町が進めているJR浪江駅周辺整備事業が21日に着工した。世界的建築家の隈研吾氏がデザインを手がけ、交流施設や商業施設、住宅などを新設する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の象徴として、にぎわい創出につなげる一大事業の工事が本格化していく。2027(令和9)年3月の完成を目指す。 着工したのは、各施設の建設に向け、上下水道などのインフラ面を整える基盤整備工事。駅前で安全祈願祭と起工式が行われ、町から基盤整備工事の委託を受けた都市再生機構(UR都市機構)の関係者ら約50人が出席した。成井祥副町長が「中心市街地の再生に向け、大きな足がかりになる」、UR都市機構の石田優理事長が「町の復興を加速させる意気込みを持ち、精いっぱい取り組んでいく」とあいさつした。関係者がくわ入れし、工事の無事を祈った。 駅周辺整備事業の対象面積は計約11・6ヘクタールで、総事業費は約250億円。交流施設にはカフェや移住・定住相談窓口、町の情報発信ブースなどを置く。商業施設にはイオン東北(本社・秋田市)が営業するスーパーの他、2~3店ほどの小規模店舗が入る。住宅は公営、民間合わせて100戸程度を建設する計画だ。
駅から商業施設までは「なみえルーフ」と名付けたユニークな形状の巨大屋根が一体的に覆う。駅の東西を結ぶ自由通路を整備するのに加え、駅前に緑豊かな芝生広場を設置して人が集まる空間をつくり出す。企業誘致エリアを設け、ホテルを誘致する方向で検討している。 来春から順次、各施設の建設工事が始まる。建物の内外装には町内で生産された木材を使い、温かみのある造りとする。町内で製造された水素も活用し、新時代の環境モデルを目指す。