「湿度が原因」気付きにくい『梅雨型熱中症』要注意!対策は?
■なぜ起こる?梅雨型熱中症 体温下がりにくいワケ
気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと『梅雨型熱中症』になるリスクがあります。 通常は、汗をかくと、その汗が蒸発するときに、体の熱が空気中に放散されることで体温が下がります。 しかし、湿度が高いと汗が蒸発できず、体の熱が空気中に放散できないので、体温が下がりません。結果、体内に熱がこもり熱中症になります。 気温35℃での実験です。 気温35℃、湿度30%では、汗が蒸発し、表面温度は40℃以下でした。 気温35℃、湿度70%では、汗が蒸発しにくく、表面温度が50℃近い部分もあります。 同じ気温でも、湿度が高いと汗が蒸発せず、高温になるということです。
■危険な梅雨型熱中症…気付きにくく対応遅れも
梅雨型熱中症は、気付きにくいです。 いとう王子神谷クリニックの伊藤院長によると、 「本格的な暑さを迎える前にかかる『梅雨型熱中症』は、本人が熱中症だと気付きにくい。対応が遅れ、来院時には中等症以上になっていることも。発症から来院までに1週間~10日かかることもある」ということです。 なぜ、対応が遅れるのでしょうか。 1つ目のケース 体がだるいので風邪かと思い、風邪薬や解熱剤を服用して様子見したため、病院での診察までに時間がかかる。 2つ目のケース 体が熱っぽく汗をたくさんかいたので、紅茶で水分補給。しかし、紅茶に含まれるカフェインで、尿の頻度が増え、脱水が進行する。
■実録 “梅雨型熱中症” 24℃でも脱水症状に
いとう王子神谷クリニックで実際にあった『梅雨型熱中症』のケースです。 28歳の女性です。 その日の最高気温は28.7℃。湿度は86%。『暑さ指数』では『厳重警戒』相当でした。女性は、まだ暑くないと感じていたので、エアコンを使っていませんでした。 その日、女性は、高温多湿の室内で食欲がわかず、食事や水分をあまりとりませんでした。 だんだん脱水状態になっていき、栄養も不足していきました。 水分、ミネラル、ナトリウムなどが不足していたということです。 そして、翌日、体のだるさやめまい、頭痛の症状があり、クリニックを受診。熱中症と診断されました。 56歳の女性です。 夜何度も目覚めて、朝方は寝苦しさを感じました。 前日は、最高気温が24.7℃、湿度は85%で、『暑さ指数』は、『注意』相当でした。 日中は、顔の血色が悪く、ボーッとして、全身にじっとりとした汗をかいていました。 この日は最高気温29℃、湿度は73%。 『暑さ指数』は、『警戒』相当に上がっていました。 女性は前日に、汗から体温が放散されず、体温調節機能が鈍っていた可能性があります。 翌日、気温上昇と多湿で、急激に体調が悪化したとみられるということです。 67歳の女性です。 朝起きるとめまいを感じ、口の中が乾燥していました。 その後、クリニックを受診し、熱中症と診断されました。 前日は、最高気温が24.3℃、湿度は88%で、『暑さ指数』は『注意』相当でした。 1週間ほど前から、連日湿度が高く、気温が25℃前後の日が続いていました。 女性は食欲がなくなりはじめ、体温調節機能が少しずつ乱れてきた可能性があります。 そのため、時間をかけてじわじわ脱水が進行しました。 クリニック受診の前夜は、頻繁に目が覚めトイレに行きました。 そのため、脱水状態に拍車がかかり、症状が強まったということです。