今年の紅白は、大所帯ステージ多数 演出で見せるか? 歌を聴かせるか?
第68回NHK紅白歌合戦の音合わせ、リハーサルが29日から始まっている。今年はとにかく大所帯ステージが気になる。AKB48や乃木坂46、欅坂46はもとより、ジャニーズ勢で初出場のHey!Say!JUMPは10人と人数の多いグループも多い。今年はもともとのメンバーの多さに加え、歌手らとコラボしてひとつのステージに上がる人の数がとにかく多いのだ。
高校生らとのコラボは、家族のだんらんにもってこい
バブリーダンスで話題となった大阪府立登美丘高校ダンス部と郷ひろみが一夜限りのコラボをする。「2億4千万の瞳~GO!GO! バブルリミックス」バージョンなので注目したい。その年の流行りものを取り入れるのは紅白のお家芸、今回はここなのかという印象だ。初登場の女性3人組バンドSHISHAMOは、一般公募で募った高校生ホーン隊と「明日も」をスペシャルコラボ。楽しく、誇らしげに演奏する高校生たちの姿がまぶしかった。 今年最後の晴れやかなステージに「あっ、いた、いた」と家族や知り合いを探す。家族のだんらんのひとときが目に浮かぶ。
登場人物多すぎを本番ではどう見せてくるのか
客席から音合わせをみたときに、人数多すぎて、歌手が埋もれてしまわないか、と不安に感じた演出もいくつかあった。「男の船出」を歌う坂本冬美のステージには、さまざまな日本の祭が大集結する。もちろん男気あふれる坂本の歌声は負けていないのだが、客席からは坂本が隠れてしまっていた。テレビでは巧みなカメラワークで、迫力ある画面になるのを期待する。 ベット・ミドラーの名曲「The Rose」をカバーする島津亜矢は、ステンドグラスを配した教会のようなセットで、ゴスペル合唱隊とともに荘厳に歌い上げる。まだ歌詞を覚えきっていないのか、やや歌がぎこちない。本番までしっかり調整するプロならではの底力を見せてほしい。三山ひろしは、得意のけん玉ネタをさらに進化させる。「男の流儀」歌唱中に、けん玉連続124人成功でギネスを目指すという。歌よりもけん玉が気になってならない。 途中、チャンネルを変えられないようにする工夫はいつもながら怠っていない。人気アイドルがベテランのステージを盛り上げる。
演出頼りすぎず、持ち味を生かす人たち
演出に頼らずとも、魅せてくれる、聴かせてくれる歌手たちももちろんいる。魂の歌声で多くの人たちの心に訴えかけた「よー、そこの若いの」の竹原ピストル、「今宵の月のように」を歌うバンド結成30年のエレファントカシマシ、無音シンクロダンスと歌唱力で圧倒する三浦大知のスペシャルメドレー、ライブ活動休止から今回の紅白でステージ復活を遂げるSuperflyは、「愛をこめて花束を」を伸びやかな声で歌い上げる。今年、紅組トリをつとめる石川さゆりは「津軽海峡冬景色」で勝負をかける。 まとめていろいろあるのが紅白。民放との視聴率争奪戦も楽しみだ。 (取材・文・写真:小杉聡子)