「風邪っぽいから病院へ」は間違い? 完治への正しい知識を医師が解説
すぐに病院へ行くことで正確な診断が出ない場合も
──では反対に、病院へ行った方がいいケースは? 呼吸がしにくい、息が苦しいといった症状が出ている場合は肺炎にかかっている危険があり、早めに受診すべきです。 「のどだけが痛い」というのも危険信号の一つ。たとえば扁桃炎なら、そのまま放っておくと膿瘍(のうよう)という重篤な疾患につながりかねません。病院へ行って抗菌薬(抗生物質)をもらうなど、投薬を開始した方がいいでしょう。 ──「とにかく、まず病院へ」という認識がありました。 場合によっては、すぐに病院へ駆け込んでも診断が確定的でないときもあります。インフルエンザがまさにそうで、24時間以内の検査では、本当はウイルスに感染しているのに誤って陰性だと判断されることもあるのです。これを「偽陰性」といいます。偽陰性は時間の経過とともに減ることから、症状が出て24時間経ってから検査したほうが検査の正確性は高まると言われています。 ──すぐに駆け込めばいいというわけではないと。 そうですね。とはいえ患者さんには落ち度はなく、国民の受診行動に関する適切な注意喚起をしてこなかった私たち医者や国の責任も少なくありません。 保険制度の違いなどはあれども、日本人の医療機関受診回数は世界で最も多いと言われています。どんなときに来院した方がいいのか、あるいはする必要がないのか、今後より一層、正しい知識を私たちや国が啓蒙(けいもう)していかなければいけないと思います。 ──宇井先生、ありがとうございました。 【宇井睦人医師 プロフィール】 湘南鎌倉総合病院・総合診療科 部長。医師・公認心理師。 2007年 順天堂大学医学部卒業。日本専門医機構認定総合診療専門医・指導医、緩和医療学会認定医・指導医、プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医、医療政策学修士。著書に『緩和ケアポケットマニュアル(改訂3版)』など。 ※この記事は宇井睦人医師の見解に基づいて作成したものです。 ※「主治医が見つかる診療所」より
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