パナソニックや環境省も参加!エビデンス・ディスカッション・グルメから海藻の養殖を広めるためのイベント開催~「GOOD SEA DAY:海藻が支えるネイチャーポジティブ」~
日本財団「海と日本プロジェクト」
都内で「GOOD SEA DAY:海藻が支えるネイチャーポジティブ」が、2024年12月19日に行われました。このイベントは、「海藻を通じて海の生態系を豊かに育むこと」を目的とし、海洋生態系などを調査研究する一般社団法人グッドシーが開催しました。 まずは、日本財団の支援を受けて実施した養殖藻場での調査結果が発表されました。海藻などが形成する「藻場」は、海の生き物たちの産卵場所や棲み処となる重要な場所です。しかし、地球温暖化や海藻を食べる生き物の食害などによって、天然の藻場は大幅に減少。環境省の調査によると、1年間で約6,000ha、東京ドーム1200個分に相当する面積が減っているとのことです。そこで、グッドシーは海藻の養殖に注目。人工的につくった藻場が、海の生態系にどんな影響を与えるかについてのデータがほぼなかったため、定量調査を実施。北海道函館市でのマコンブ、愛媛県今治市でのヒジキ、熊本県天草市でのトサカノリの3か所で、何もしない藻場外のエリアと比較する調査を1年かけて行いました。その結果、トサカノリの養殖エリアでは36倍の魚の量を観測するなど、全ての調査地点で生き物が増加しました。海藻を育てたことで植物プランクトンや小さな葉上動物が多数出現。それらが魚たちのエサとなり、個体数が増えていくといった生態系の好循環を生み出していたのです。グッドシーでは養殖藻場の産業化を目指していますが、課題も認識しているとグッドシーの蜂谷潤理事は言います。「海に海藻がある状況をつくろうという場合、漁師さんだけが取り組めばできるわけではありません。もっと技術的なところを解決していく、販売の過程で(海藻に)付加価値化をしていくことが必要となっていきます」 そこで、今回のイベントでは、具体的なアクションを考えるため、有識者を交えてのパネルディスカッションも実施。パナソニックホールディングス株式会社の執行役員でグループCTOの小川立夫さんは、合同会社シーベジタブルと共同し、ロボット技術・IoT技術を活用するといった海藻養殖のDXを検討中と話しました。また、環境省が所管する関連の取り組みなども紹介されました。さらに、海藻料理を普及させるための試食会も実施。ミシュランガイドで三ツ星を獲得している和食料亭「菊乃井」が手掛けた「潮の香にゅうめん(三種の海藻入り)」のほか、すし作家・海藻料理研究家の岡田大介さんがつくった「若ひじきのサラダ」や「すじ青のりタルタル」など、海藻の可能性を広げる新たな料理の数々が提供されました。「菊乃井」の三代目主人・村田吉弘さんは「菊乃井でにゅうめんは何種類も販売しているが、海藻入りのにゅうめんは一番人気。ベースは磯の香りがするが、それぞれの味わいが違う」と紹介。また、岡田さんは若ひじきのサラダについて「やわらかいのにちゃんと歯ごたえがある」と解説しています。 グッドシーは、2025年1月22日に「GOOD SEA DAY 海のネイチャーポジティブを実現する共創のあり方」を開催予定。古代より日本の伝統食として日々の暮らしとともにあった「海藻」。その海藻を海の未来へとつないでいくグッドシーの新たな取り組みに期待が高まります。
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