NHKニュース番組の文字スーパーに「ふりがな」 その狙いは?
NHKのニュース番組の中で、タイトルにふりがなが付いているのを見たことがあるかもしれません。NHKによると、この取り組みは昨秋から始まっているといいます。一体どんな場合にふりがなが付けられるのでしょうか。その狙いは何でしょうか。 【写真】NHK籾井会長発言で注目、NHK会長ってどんなポスト?
これまでに3回の実施例
「宮城・福島(みやぎ・ふくしま)で震度(しんど)5弱(じゃく) 津波(つなみ)の心配(しんぱい)なし」 2月28日、NHKの夕方のニュース番組「シブ5時」は、福島県沖を震源とする強い地震の発生を伝えました。そのタイトルと画面右上に表示しているマスコットスーパーには「ふりがな」が付けられていました。 一見、ふりがなを付ける必要もないような平易な漢字にもひらがな表示が――。この取り組みをNHKが実施したのは、これまでに計3回あります。1回目は2016年11月22日で、早朝に福島県などで発生した震度5弱の地震で宮城県・福島県に津波警報が発令された際。「おはよう日本」とその後の特設ニュースでタイトルなどにふりがなを付けました。次は昨年末の12月28日夜の「ニュースウォッチ9」で、茨城県を震源とする震度6弱の地震発生を報じたニュース。そして2月28日の事例です。 NHKによると、タイトルとマスコットスーパーにふりがなを付ける対象となるのは「ニュースウォッチ9」や「シブ5時」など、地上波のすべてのニュース番組。条件は、大津波警報・津波警報、津波注意、震度5弱以上の地震、特別警報発表時などで、その他の災害や事件・事故でも、必要性が高いと判断した場合は検討します。
「減災報道」の取り組み拡大
こうした試みのそもそものきっかけは、2011年の東日本大震災でした。震災以降、NHKでは「減災報道」をより進めるために、画面表記など放送のあり方を見直しています。減災とは、起こってしまった災害に対する被害を最小限に食い止めることです。 2011年には、大津波警報・津波警報が出た場合に「すぐ避難を!」と文字スーパーを入れることを、さらに翌2012年12月には、子どもにも分かりやすいように「つなみ にげて!」とひらがなにすることを決めました。 今回のふりがな付きタイトルは、これを大規模災害時と外国人向けに広げたものです。 背景には、昨年4月の熊本地震など大きな災害が続く現状に加え、訪日外国人の増加があります。日本に滞在する外国人の中には、漢字は難しくて読めなくても、ひらがななら理解できるという人がいることから、減災報道の一環としてスタートしました。NHK広報局によると、視聴者からは「分かりやすい」「こうした改善は進めて欲しい」などの声が届いているといいます。