チャン・ゴンジェ監督『ケナは韓国が嫌いで』2025年3月7日公開決定 予告編&ポスターも
第28回釜山国際映画祭オープニング作品に選ばれたチャン・ゴンジェ監督の新作映画『Because I Hate Korea(英題)』が、『ケナは韓国が嫌いで』の邦題で2025年3月7日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開されることが決定した。 【写真】『ケナは韓国が嫌いで』場面写真(複数あり) 本作は、現代の韓国社会を舞台に、生まれ育った場所で生きづらさを感じる女性が人生を模索する姿を描いた小説『韓国が嫌いで』(チャン・ガンミョン著)を原作に、韓国の若者が直面する現実を映し出した人間ドラマ。監督を務めたのは、『ひと夏のファンタジア』のチャン・ゴンジェ。2015年に原作を読んだ監督自らが映画化を熱望し、9年の歳月をかけて完成させた。 ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、片道2時間かけて通勤している。学生時代からの恋人ジミョン(キム・ウギョム)は、「自分が就職したら支える」と言うが、そんなジミョンにケナは苛立ちを隠せない。だが、ケナの母は、裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望んでいた。一方、ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていたが、母は転居先の家の購入費用もケナに頼ろうとしていた。ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、恋人との不透明な未来、仲は良いけれど息が詰まるような家族との日々。ここでは幸せになれないと思ったケナは、ニュージーランドへの移住を決意する。 主人公ケナを演じたのは、ポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物-』に中学生の娘役で出演したコ・アソン。韓国とニュージーランドの2カ国を跨ぎ、人生に葛藤する30歳前後の女性を等身大で体現する。 主人公ケナと同じ時期にニュージーランドに留学し、かけがえのない友人となるジェイン役を演じたのは、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で新人弁護士として奮闘するクォン・ミヌ役を務め、2025年1月にはTBS系新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』で日本ドラマデビューを果たすチュ・ジョンヒョク。 高層ビルの合間を飛ぶ飛行機のカットで始まり締めくくられる予告編では、主人公ケナ(コ・アソン)の「なぜ韓国を出るかって? 韓国が嫌いで」という台詞とともに、ケナの韓国での鬱屈とした様子が映し出されている。片道2時間の通勤、興味のない仕事に上層部の顔色を伺う上司、馴染めない競争社会、寒すぎるソウルの冬。そして、「真面目に生きても幸せになれる気がしない」と漏らすケナに、「将来は僕が養うからさ」と見当違いな反応を見せる恋人ジミョン(キム・ウギョム)。ケナは、「そういうことじゃない」「私を惨めにさせないで」と苛立ちを募らせるばかり。映像では、一念発起したケナが自分の幸せを求めて、ニュージーランドで新しい人生を歩み出す姿が。異国の地での新しい仕事、出会ったジェイン(チュ・ジョンヒョク)や友人たちとのかけがえのない日々も捉えられている。 ポスタービジュアルは、ケナの決意を込めたキャッチコピー「ここから抜け出すことにした。」が添えられ、空港で大きなリュックサックを前後に背負い、どこか一点を見つめるケナの姿が描かれている。 また、コ・アソン、チュ・ジョンヒョク、チャン・ゴンジェ監督から、日本の観客に向けたコメントも到着。主演を務めたコ・アソンは「韓国の人だけでなく、誰もが共感できることを願ってケナを演じました」と役に込めた思いをコメント。自身も留学経験があったというチュ・ジョンヒョクは、「私自身の経験をキャラクターに反映させました」と語る。そして、チャン・ゴンジェ監督は「観客の皆さんも、ケナと一緒に旅に出ていただければと思います」とメッセージを寄せた コメント コ・アソン(ケナ役) 「自分が生まれた国であっても、嫌いになることだってある」韓国の人だけでなく、誰もが共感できることを願ってケナを演じました。穏やかな人生を手放して、見知らぬ土地で自分の道を切り開く人物を観ていただけたらと思います。 チュ・ジョンヒョク(ジェイン役) ニュージーランドでのワーキングホリデーを通じて自身のアイデンティティと向き合うジェインの姿は、実際にニュージーランドに留学していた過去の自分と重なり、私自身の経験をキャラクターに反映させました。あの頃見た風景、出会った人々、そして当時抱いていた感情を再び思い出しました。ケナの物語では、家族との関係や外国で暮らすことの孤独感といったテーマも描かれますが、そこに深く共感する自分にもいました。この映画は、私個人にとっても、過去の大切な思い出と再会させてくれた特別な作品です。 チャン・ゴンジェ(監督) この映画は、私が2015年11月に原作小説を読んですぐに映画化しようと決めた物語です。韓国で暮らすということはどういう意味を持つでしょうか。20代後半の未婚女性である“ケナ”は、自分を取り巻く環境を変え、韓国とは距離を置きつつ韓国での生き方を考えます。ケナの周りの人たちは彼女を理解できません。ですが、ケナは敢えて冒険の旅に出ます。そして、移動して、自ら動くことによって新しい人々と出会います。この映画は、その過程で出会う人々、彼らと過ごした時間を経て、少しずつ変化していくケナに焦点を当てています。最後にケナはどんな決断を下すことになるのでしょうか。観客の皆さんも、ケナと一緒に旅に出ていただければと思います。
リアルサウンド編集部