<上海だより>子どもの登下校は保護者送迎が当然、おばあちゃん出動も普通
上海市内の幼稚園や小学校でよく見る光景が登下校時の送り迎えです。朝方は学校前まで送ればそれで終わりですが、夕方の下校時は子どもたちの出待ちの保護者たちが学校前に大勢集まります。幼稚園児の送り迎えは理解できますが、小学生で毎日送り迎えが必要というのは、日本の感覚だと少々違和感があるかもしれません。
グラフを見てもわかるように、東京や大阪など日本の安全性は他国の都市に比べると圧倒的に治安が良いです。例えば、ニューヨークは上海より少々上位に位置していますが、アメリカの小学校などでもスクールバスもしくは親の送迎が多いことを考慮すると、上海でもやはり手放しでは外で子どもを歩かせるわけにはいかないのでしょう。 以前、子どもが路上で誘拐されたらどれだけの人が助けるかというデモンストレーションをした動画が中国のインターネット上で公開されていましたが、誰もが見て見ぬ振りをするという悲しい結果でした。単に危険かどうかよりも、自分やその子どもの身は自分の責任で守らなくてはいけない、という危機意識も必要なのです。実際、上海の女性に聞いてみても「小さな子どもが一人で歩いていて誘拐されたらどうする?学校への送り迎えは絶対に必要」と言っていました。
また、乗用車やトラックとの悲惨な交通事故も中国では日々発生しています。上海中心部の小学校は小さな道に面している学校が多いのですが、元々の交通量も多い上に、登下校に合わせて車での送り迎えも多いため、当然学校付近の車の交通量は増えますし、路上駐車も多く道が狭くなるので急に渋滞が発生します。 もちろん交通整理の人が立っていますが、一部のバイクや自転車などは停止せずに進もうとし、せっかちな親子は車の隙間をぬって渡ろうとする人たちもまれにいます。親が目を離したすきに子どもが不注意で道を渡ろうとした際に車と接触という可能性もあり得るでしょう。多くの親たちが車で迎えに来るがゆえに、交通事故が発生しやすい状況が生まれているのは皮肉です。