【首都大学リポート】4試合で13打数7安打、打率.538 4年生で素材開花の“苦労人”桜美林大・廣瀬航大
野球人生を変えた一打
桜美林大には高校の先輩で、21年春の首都大学リーグで最高殊勲選手(MVP)を獲得している投手の山本雅樹(現:ロキテクノ富山)に誘われたのがきっかけで進学。しかし、入部直後の4月にヘルニアとなり9月まではプレーすることができず。さらに「大学はピッチャーのレベルが高く、簡単に打てるほど甘くなかった」とずっと試行錯誤を繰り返してきた3年間だった。きっかけをつかんだのはこの春のリーグ戦も最終盤にさしかかった第7週、東海大1回戦だ。 6回裏の二死二塁で代打起用されると「あのときは、まだ進路が決まっていなかったので『人生最後の打席』だと思って入りました」と覚悟を決めた一振りで、センターへ自身のリーグ戦初安打となるタイムリー二塁打。8回裏にもライトへ2打席連続となる適時二塁打を放ち、2安打2打点の活躍。その後、社会人チームに内定して野球を続けることも決まり、まさに自身の人生を切り拓くターニングポイントの打席となった。 藤原悠太郎監督は「練習を積み重ねてレギュラーを獲った選手。コンタクト能力が高く、今は状況に応じたバッティングもできるようになってきました。試合に出られなかったときもスタンドでの振る舞いは立派でしたし、応援もよくやってくれました。今季は副主将としてチームを支えてくれています」とグラウンドの内外で高い評価をしている。 桜美林大は帝京大2回戦を1対4で落とし、開幕4連敗と苦しい立場となっている。だが、廣瀬は残り3カードへ向けて前を向く。 「来週は空き週になるのでやるべきことをやって、しっかりと練習していきたい。勝ち点は2つ落としましたが、今季は3位まで関東大会に出ることができるので、関東大会とその先にある明治神宮大会を目指し、チャンスで一本を打ってチームに貢献したい」 4年生になって、素材を開花させた苦労人。最後は良い形で、大学野球を締めくくりたい。 文=大平明
週刊ベースボール