佐々木朗希のメジャー移籍でロッテが“大損”のなぜ?戦力失い大金も逃す、背景に日米球界の不平等ルール
■ 日本の球界はメジャーの「人材供給源」か 球団側にとっても、「25歳ルール」の対象ではない移籍の場合には、もたらされる譲渡金の恩恵は大きく、オリックスが山本投手のドジャース移籍で手にした譲渡金は、山本投手の在籍期間の年俸総額(推定)を上回るほどだ。球団は戦力補強や設備改修などに充てることで球団の価値を高めることもでき、選手はFAを待たずにメジャーへ移籍できる。 オリックスは今季、リーグ優勝が3連覇で止まったが、基本的にはポスティングシステムは選手と球団の双方にメリットが生じる現実的な選択肢となる。一方、佐々木投手の場合には、ロッテは譲渡金をほとんど受け取ることができず、戦力ダウンも必至となる。 それでも、ポスティングシステムによるメジャー移籍を訴えた選手が「わがまま」と批判されたかつてとは違い、ファンも若い年齢でのメジャー挑戦を後押しするムードもあり、佐々木投手に関してもファンの意見は賛否が分かれる。 「25歳ルール」の導入が決まった当時の日本メディアの記事をみると、日本球界は25歳を超えるまで選手の移籍を容認しないため、「移籍を希望する選手には不利なルールだが、球団には関係ない」という趣旨の記事もある。しかし、現実は甘くなかった。選手の移籍志向は年々、若くなっている。球団の権利とされながら、ポスティングシステムを何年も容認せずメジャーへの挑戦を妨げることは、球団のイメージ低下につながるリスクも生じる。 日米球界の待遇面は、メジャーの市場規模の拡大によって差は広がる一方だ。今季開幕時点のメジャーリーガーの平均年俸は498万ドル(当時約7億6000万円)で、大谷選手や山本選手らの年俸も、日本時代とは比べものにすらならない現実がある。 日本人選手に対する需要も高まっており、かつては「夢」「挑戦」という指標で語られたが、現在のメジャー移籍は「ビジネス」的な観点からも、現役時代に手にできる金銭面も含めてメリットが大きくなっているのだ。こうした現状は、日本球界が事実上、「優秀な人材の供給源」のようになっている面を否定できない。