<ボクシング>亀田大毅の統一戦 権威を失墜させた不手際
WBA、IBFの統一戦は、最後の最後までトラブルに終始した。 まずリングアナウンサーが読み上げた判定結果発表を途中で一度、止めるという不手際。こちらはリングアナが114と116の数字を見間違えたというケアレスミスだったそうだが、もっと驚きの事態が舞台裏で起きた。 美人すぎるボクサーに強烈ヤジ「ボクシングなんか辞めろ」 ■敗れた亀田大毅がタイトル防衛 試合後、IBFの立会人のリンゼイ・タッカー氏が記者会見を行い、「亀田大毅は、ルールに従いタイトルを保持したままである」と発表したのだ。前日、WBA世界Sフライ級王者のリボリオ・ソリス(ベネズエラ)が計量に失敗。WBA王座を剥奪される事態となったが、統一戦は続行されることになり、IBF世界Sフライ級王者の亀田大毅が勝った場合は統一王者、負けた場合は、両タイトルが空位となることが確認されていた。だが、試合が終わると、IBFの立会人は、「誤解。私はそんなことは言っていない」と釈明に終始して前言を撤回。負けて空位となると言っていたはずのIBFタイトルを防衛成功に切り換えてしまったのである。 確かにIBFのルールには、挑戦者が計量に失敗、失格となった場合、王者がタイトル防衛扱いとされることが明記されている。ならば、なぜ、試合前に、そのことを明らかにせず間違ったコメントを発表していたのか。そこの部分に疑念は残る。 ■世界戦の権威を失墜させる事態 JBCも、このIBFの裁定に従う方針を示したが、ファンを大混乱させる結末を単純な「言い間違い」で片づけていいものなのだろうか。今春からJBCは、IBF、WBOという2つの団体を認可したが、今回のお粗末なIBF側の処置は、世界王座の権威を失墜させてしまうばかりでなくファンの信頼を失ったのではないだろうか。 元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏も、その懸念を持つ一人だ。 「なぜ試合前にちゃんとした説明をしておかなかったのでしょうか? ボクシングファンの信頼をなくすような事態だと思っています。相手が体重超過で失格した時点でタイトル防衛がルールならば、それを事前に説明しておけば納得もいくと思うんですよ。IBFは今春から認められましたが、こんなトラブル続きでは、また認定を見直そうという議論が起きてきても、おかしくないと思います」