【セントライト記念回顧】進化遂げたアーバンシックの完璧な立ち回り ルメール騎手の戦略も冴えわたる
力差を感じたトライアル
春の実績馬と夏の上がり馬が激突する秋のトライアルは、その実力差がどれほどあるかがポイントになる。セントライト記念ではラジオNIKKEI賞組のほかに対抗馬になり得る存在は1勝クラスを抜け出した2勝馬が中心。3勝をあげた馬が不在で、やや小粒な印象は否めなかった。 【ローズステークス2024 推奨馬】先行力生きる舞台、条件次第で勝率75%データ該当で確勝級! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 結果は1、2番人気が入れ替わった以外は6着まで人気通り。ほぼ下馬評通りに終わった。勝ったのは皐月賞4着アーバンシック、2着は同2着コスモキュランダと実績馬が揺らぐことはなかった。先手を奪ったのはダービーで逃げたエコロヴァルツ。番手につけたが行きたがったため、途中から先頭に立ったのがヤマニンアドホックだった。上がり馬は全体的についていけなかったあたりに力差を感じた。 先行集団がバラバラで後ろが団子状態という隊列もそんな実力差ゆえだろう。前半1000m通過1:00.5は馬場を考えると、スローペース。残り600mまで12秒台前半が続く流れでは、勝負をかけ、動かないと上位進出は望めない。動いたのは2着コスモキュランダで、よほど自信がないと厳しかったか。 コスモキュランダが外から抜群の手ごたえで進出し、残り600mは11.7-11.4-11.5。レースを先に動かしたコスモキュランダは主役にふさわしい堂々たる走りをみせたが、それをインで狙っていたのがアーバンシック。冬開催で目立つ直線向かい風や前夜の雨も影響したか、開幕週ほど高速化しなかったものの、上がりが速い中山では極力インを立ち回る効率のいい走りを求められる。 この日5勝をあげたルメール騎手はこれで中山重賞2連勝。今秋の中山を手の内に入れている。内で脚を溜め、最後は目標となる馬の外へ。アーバンシックの競馬は完璧だった。そう考えると、3~4角を外から先に攻めて早めに先頭へ立ったコスモキュランダはかなりの距離損だったが、やはり中山だとコーナーでの加速力が違う。強い競馬と完璧な競馬が交錯した結果の着順であり、着差1馬身3/4ほどアーバンシックとの差はない。