『海のはじまり』目黒蓮の器の大きさに甘えすぎ!エグイことを平然とした有村架純と古川琴音にドン引き【ネタバレあり】
最終話を観終えて、ひとしきり感動の余韻に浸る。その後、冷静になってこの作品を振り返ってみると、2人の女性キャラに対して「は?」と思うモヤモヤが残っていることに気づいた。 9月23日(月)放送の最終話(第12話)で完結したSnow Man・目黒蓮主演の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)のことである。 主人公・月岡夏(目黒)は平凡な会社員ながら、恋人の弥生(有村架純)と幸せな日々を送っていた。 そんなある日、大学時代に交際していたものの8年も疎遠になっていた元彼女・水季(古川琴音)が、病気で亡くなったという訃報を受け葬式に参列。葬儀場にいた小1の少女・海(泉谷星奈)が、夏の娘であることを海の祖母・朱音(大竹しのぶ)から知らされ、戸惑いながらも幼い娘と懸命に向き合っていくストーリーだ。 ■【ネタバレあり】苦悩し続けた主人公が選んだ “道” は? まず、どういうふうに物語が着地したのかのネタバレをしておこう。 夏と海は2人暮らしをしていくことになるが、家族や家族以外の周囲のやさしい人たちに支えられ、父娘が幸せに暮らしていくというエンディングとなった。 第1話から視聴していて号泣させられるエピソードもたびたびあったが、それと同時に途中途中で登場人物の言動に「は?」「ん?」「え?」と引っかかるところも多かったのも事実。 筆者は男性なので主人公・夏に感情移入し、「もし自分が彼と同じ立場だったら?」とよく考えていたのだが、筆者のように器の小さい人間からすると、どうにも納得できない女性キャラが2人いたのだ。 それは亡くなった元彼女・水季と、今彼女だったものの第9話で自ら夏に別れを告げた弥生。 先に言っておくと、突然病が発覚した水季の悲運には同情するし、葛藤が生じた弥生の感情の変化もわからなくはない。にしても、「そりゃないだろ?」と思わざるをえなかった。 エンディングまで観ないとそのキャラクターに対する正当な評価は下せないので、最終話で水季と弥生へのモヤモヤがきれいに解消されることを期待していたが、けっきょくその女性キャラ2人には納得できないままなのである。 ■元彼女・水季が亡くなる前に絶対しておくべきだったこと 元彼女・水季に対してのモヤモヤはわかりやすい。 まず、大学時代に別れる前、水季は夏に妊娠を伝えると同時に、妊娠中絶同意書にサインをさせている。夏は出産するという選択肢はないのかと尋ねるも、水季は夏の意見に聞く耳を持たない。その後、水季は電話越しに一方的に別れを告げ、夏の前から姿を消していた。 途中回で水季の感情の推移は描かれたので、翻意して出産すると決めたことや夏の前から姿を消した気持ちは理解できたのだが、最後まで解せなかったのが、なぜ病気がわかって死を覚悟した時点で、夏に海の存在を打ち明けなかったのか、ということ。 生前の水季が海を連れて夏に会いに行こうとするも、偶然、夏と今彼女・弥生がいるところを目撃してしまい、会わずに帰ったというシーンはあった。しかし、それならば日を改めてでも、絶対に亡くなる前に夏に会って、きちんと海のことについて話しておくべきだったのではないか。 水季がそうしていれば、夏はあんなに慌ただしく海と向き合う必要はなく、ゆっくり考える時間が持てただろうし、水季の母親や同僚たちから嫌味を言われるといった衝突も避けられたに違いない。 それだとドラマにならないことはわかるが、だとしたら物語を盛り上げるための脚本家の都合で、水季がひどい人間のように見えてしまったことになる。 最終話、水季が夏に宛てた手紙の文面が明かされる感動シーンがあったが、手紙を書く余裕があったのなら、会いに行くか電話でもして直接伝えてやれよと思うのだ。 ■弥生は “お母さんやれます顔” なんてすべきではなかった 今彼女・弥生に対してのモヤモヤはちょっとややこしい。 夏に急に小1の娘がいたことがわかり、葛藤の末に自分は母親にはなれないという結論を出し、別れを切り出した――という大筋だけ聞けば、彼女はむしろ被害者だ。 だが物語前半から中盤にかけて、弥生は母親になる気満々で、むしろ自分が母親になる前提で、夏が早く父親になる決断をするよう促していたフシもあった。 たとえば第2話では、弥生は夏に「もし月岡君がお父さんやるってなったら、私がお母さんやれたりするのかなぁって。決めるのは海ちゃんだけど、選択肢のなかに入れてもらえたらなぁって。それも考えてみて」と伝えていた。 第3話では、夏とともに祖父母と暮らす海に会いに行き、その後は何度も3人でお出かけしている。祖母・朱音が弥生に対して「あの子、『私、お母さんやれます』って顔してた」と不快感をあらわにしていたが、弥生の継母になるという決意は固いように見えたので、応援していた。 ちなみに海は弥生にとてもよくなついていたし、第9話前半で弥生が母親になってくれたら嬉しいと海は直接本人に伝えてもいた。 だが、けっきょくは、弥生は母親になれないという結論に至り、第9話後半で夏と別れてしまうのだった。 夏の性格から考えると、彼は弥生がいてもいなくても父親になって海と暮らす決断をしただろうが、途中までは弥生が母親になる気満々だったので、3人で家族になることを想定して海と向き合っていたはずだ。 途中で心変わりする可能性が少しでもあったのなら、安易に “お母さんやれます顔” をしてほしくなかった。夏はやさしい性格なので弥生に文句なんて言わなかったが、性格の悪い筆者が同じ立場だったら、ハシゴを外された気分になって弥生に嫌味のひとつやふたつ言い放っていたに違いない。 ■夏は実父に「めんどくさいことになった」と吐露していた 夏の両親は幼い頃に離婚しており、実父とはずっと会っていなかったのだが、第8話で再会。その際に夏は実父に、突然娘ができた状況を「『めんどくさいことになった』って思ったんです」「本当にもう、全部、タイミングっていうか、最悪で」と本音を吐露していた。疎遠になっていた実父にだけそんな不満をぶちまけられたわけだ。 夏は海に直接かかわる周囲の人々には最後までそんな愚痴は言わなかったが、そう考えてしまうのは普通のことではないか。 劇中での水季と弥生は、“信念をしっかり持った女性” と好意的に描かれていた。けれど、それは主人公の誠実さと器の大きさに甘えただけで、なんとかそういう好印象に持っていけたにすぎない。 ――最終話まで観終えた今、彼女たちの一連の言動を振り返ると、かなりエグイことを平然としでかす女だと思えて仕方がないのである。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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