「ミウラ」が「P400S」でも2億7300万円の驚き! SV並みの価格はランボルギーニ伝説のテストドライバー「ボブ・ウォレス」が関係している!?
エンジンはボブによってリビルトされた!
いっぽうV12エンジンは、元ランボルギーニのエンジニア兼テストドライバー、伝説のボブ・ウォレス自身によってリビルトされ、JAE社製のカスタムピストンとリング、0.5mmのオーバーボア、SV仕様の分割式潤滑システム、ANSAスポーツエキゾーストが採用された。ウォレス氏はまた、リミテッドスリップデフを取り付け、各部のベアリングやブッシュ、トランスミッションのシンクロメッシュもアップデートした。 いっぽう内装は、非常に魅力的なダークグレーのレザー内装と、それを引き立てるカーペット、ヘッドライナー、ステアリングホイールのレザー表皮で修復された。要するにこのレストアは、単に美しいミウラに仕上げるためだけでなく、工場が意図したとおりの速くて丈夫なロードカーを作るために行われたのである。 コレッティ氏は、南カリフォルニアの自宅から「カーウィーク」のためにモントレーまで何度も出かけるなど、愛車ミウラP400Sを8年間愛用し続けた。その後、インディアナ州の著名な「エルクハート・コレクション」のパフォーマンス・カーとして譲り渡されたP400Sは、その後もオーナーのお気に入りの1台として継続的に手入れされ、アメリカ中西部のコンクールに出品されることもあった。 そして2020年、同じRMサザビーズによって「エルクハート・コレクション」がオークションにかけられたとき、故アンガス・ミッチェル氏がこのミウラを手に入れ、彼の50歳の誕生日を祝うにふさわしい喜びをもたらしたのだ。
ミウラ P400SVの取り引き実績にも近い高価格でハンマーが鳴らされた
このミウラは、たちまちアンガスのコレクションの中心的存在となっただけでなく、そのスタイルとパワーで、周囲の仲間たちからも認知されるようになった。とくにその美しさはオーナーを魅了し、彼の所有するほかのクルマのデザインにも影響を与えてゆく。そしてこのP400Sのホイールのデザインは、同じく今回の「Monterey 2024」オークションに出品された「LM002」の特製ホイールにも引用されることになった。 カリフォルニア州ロングビーチの「グランツーリング・クラシック」社は、キャブレターのクリーニングとチューニングを行った。オリジナルの燃料タンクは修復されて再び取り付けられたうえに、キャブレターのレイアウトのために、時として車両火災を起こしがちなミウラには有用な消火システムも取り付けられた。 今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社の営業部門は、アンガスからこのミウラSを相続した遺族である現オーナーとの協議の結果、140万ドル~170万ドル(邦貨換算約2億720万円~2億5160万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。 ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、ビッド(入札)が予測外に跳ね、終わってみれば189万7000ドル。現在の為替レートで日本円に換算すれば約2億7300万円という、ここ数年におけるミウラ P400SVの取り引き実績にも近い高価格でハンマーが鳴らされることになった。 ちなみに4年前、2020年11月の「The Elkhart Collection」にて、故アンガス・ミッチェル氏がこの個体を手に入れた際のハンマープライスは116万ドルであった。また、同じく2024年のモントレー・カーウィーク中に開催された「グッディング&カンパニー」社の「Pebble Beach」オークションでも、ミウラP400Sが204万ドルで落札された実績を見ても、やはりこのモデルの相場はジリジリと上がっているということなのであろう。
武田公実(TAKEDA Hiromi)
【関連記事】
- 【画像】一部をSVにアップデート済み! ランボルギーニ「ミウラ P400S」を見る(全57枚)
- ◎なんと1億円!!「ウルス」の始祖「LM002」が相場の倍以上で落札…「ミウラ」と同じデザインのホイールを履いた、ハイセンスなランボルギーニでした
- ◎約7.7億円は「ミウラ」史上最高額!? ジェイ・ケイの元愛車だった「P400SV」は右ハンに改造されていた…数奇なヒストリーを紹介します
- ◎レストア済みの「ミウラP400S」が1億5000万円! エンジニアたちの業務時間外の活動はレース活動を夢見ていたからでした
- ◎「ミウラ」とのたった15分のランデヴー。フェラーリにはなかった瞬発力を当時のランボルギーニはたしかに持っていた【クルマ昔噺】